1997 Fiscal Year Annual Research Report
北海道大学「桑園博士町」における文化生活の導入と実践に関する研究
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09750711
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
池上 重康 北海道大学, 大学院・工学研究科, 助手 (30232169)
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Keywords | 文化生活 / 大学村 / 北海道大学 / 寒地住宅 / 住宅改良 / 園芸 |
Research Abstract |
「桑園博士町」の居住者達が、大正元年12月に発足した「村会」の記録である「村会日誌」の昭和40年9月27日開催の第475回までの全記録をデータベース化した。村会自体はこれ以降も第2世代が引継ぎ、平成7年秋まで存続していたが、第3世代へ引き継がれることはなく、閉会となっている。 日誌の内容から読み取れたことを以下に列挙する。会の発足直後の大正2年3月から街灯の設置が懸案になり、同4年8月に設置を決定している。また大正5年7月以降、宅地問題が議題にあがる。これまでの伝承では大正初期以降、博士町の新規住民は大学所有地の払下げを受けていたようにされていたが、実際には昭和24年になるまで払下げは実施されなかった。大正5年11月に大学へ賃貸土地払下げを請願したが、翌6年に当該敷地が大学より札幌市へ譲与予定になったため、村会所有地をこれから除外もしくは払い下げて欲しい旨陳情している。大正10年には物価上昇にともなう借地代の更正を大学村を特別扱いするよう相談するなど、常に土地所有問題が議題にあがっていた。同年10月には屋根を亜鉛葺きに変更する件について話題となっている。このことから、それまでは柾葺など非耐火材を屋根葺材に使用していたことが読み取れる。昭和7年頃より村会の行事のひとつラジオ放送を楽しむことが追加される。昭和12年4月には「近年の新案に係るストーブを据付け研究」している。このように、生活文化面での当時の流行の摂取状況もある程度は読み取ることができた。昭和25年2月の森林厚吉の死去はもちろん村会の話題に上り、博士町住民と森本厚吉との強い関連を裏づけている。 「村会日誌」の解読の他に行なった聞き取りおよび資料収集では、宮部金吾邸(旧和田邸)の建築図面を北海道大学施設部管理の図面の中から発見できた。また、未調査の住宅数棟についても住宅の概形までの聞き取りを終えている。
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