1997 Fiscal Year Annual Research Report
コポリマー中へのコモノマーの溶解度および拡散係数の測定及び推算
Project/Area Number |
09750830
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
佐藤 善之 広島大学, 工学部, 助手 (50243598)
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Keywords | 溶解度 / 拡散係数 / LLDPE / エチレン |
Research Abstract |
コポリマー成分である1-ヘキセンの組成の異なる2種のLinear low density polyethylene(LLDPE)中のエチレンの溶解度と拡散係数の測定を、LLDPEがゴム状態である温度60℃,80℃と溶融状態である130℃,160℃において圧力3.5MPaまでの範囲において測定を行った。LLDPE中のエチレンに溶解度はほぼ圧力に対して直線的に増加し、またコポリマー組成の違いによる影響は、溶融状態においては見られなかったが、ゴム状態においては大きな溶解度の差が観察された。これはコポリマー組成が異なるため、結晶化度が異なることに起因するものと考えられた。そこで各温度においてLLDPE中のエチレンのHenry定数を決定し、溶融状態のHenry定数をゴム状態に外挿した値とゴム状態におけるHenry定数の差より結晶化度を決定した。本研究で得られた結晶化度は融点に近い60℃,80℃では温度により変化しており、また室温下ではX線回折による測定値とよく一致した。本研究で得られた結晶化度を用い、ポリマー中の非晶質部のみにエチレンが溶解すると仮定して溶解度を整理すると、両LLDPE中へのエチレンの溶解度は良好に一致した。 両LLDPE中のエチレンの拡散係数は、圧力に対して直線的に増加した。LLDPEの溶融状態において拡散係数はほぼ一致したが、ゴム状態においては大きな偏差がみられた。これは、アモルファス中に含まれる結晶の影響によりエチレンの拡散が妨げられるため、結晶化度の違いにより拡散係数の値に差が生じたものと推定される。
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