1998 Fiscal Year Annual Research Report
Quasi-monoclonalマウスを用いるIgE抗体産生システムの開発と応用
Project/Area Number |
09750878
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
疋田 正喜 岡山大学, 工学部, 講師 (60228715)
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Keywords | IgE / 胚中心 / モノクローナル / RAG |
Research Abstract |
平成10年度に計画した本研究においては、抗原特異的IgE抗体産生細胞へ分化機構を解明することを目的として、Quasi-monoclonal(QM)マウスを用いてリンパ節内で起きている免疫反応を種々の角度から検討した結果以下のような成果が得られた。 1.平成9年度の本研究において得られた成果をもとに、QMマウスが産生する抗NP抗体の定量システムを完成した。また、本方法を用いてQMマウスの血清中の抗NP抗体価を測定したところ、IgM抗体に関しては非免疫の状態において約90%のIgM抗体がNPに対する特異性を有していることが明らかとなった。しかし、IgG抗体については約50%の抗体がNPに対する抗原特異性を消失していた。さらに、IgE抗体についてもIgG抗体と同様の結果が得られた。 2.QMマウスにNP化した抗原を免疫したところ、野生型マウスに比べ高い値の抗NP抗体価が得られたが、NPハフテンを認識しない抗体や低親和性を示す抗体の割合が高いことも明らかとなった。さらに、このとき免疫応答の場であるリンパ節内における胚中心の形成やT細胞B細胞の集積は正常に行われていることが明らかとなった。 3.成果2で得られた結果にもとづき、どのような機構でB細胞の抗原特異性が変化したのか検討したところ、成熟B細胞において再発現したrecombinationactivatinggeneが抗体可変部の遺伝子を再組み換えしていることを示唆するデータが得られた。このことは、全く新たなB細胞分化機構の存在を示唆しており、IgEへのクラススイッチ機構のみならず液性免疫全般に影響を及ぼす大きな成果であると考えられる。
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