1997 Fiscal Year Annual Research Report
含フッ素遷移金属カルベン錯体の調製と、それを用いた含フッ素化合物の合成
Project/Area Number |
09750953
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
網井 秀樹 岡山大学, 工学部, 助手 (00284084)
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Keywords | 有機金属錯体 / フッ素化合物 / 有機合成化学 |
Research Abstract |
トリフルオロメチル基が直接結合しているカルベン種は、薬理活性天然物の機能向上を目指した含フッ素アナログ及び機能性材料合成に重要であると考えられるが、非常に不安定な活性種であるためにこれまでその有効な調製法が開発されていなかった。本研究はその等価体である遷移金属カルベン錯体の創製法について研究するものである。特に合成化学的有用性を考えて、トリフルオロメチル基及びアミノ基を有するカルベン錯体の合成に照準を絞っている。これまでの研究状況を以下に示す。 (1)遷移金属カルベン錯体(非フッ素系)の合成法として確立されているFischerらの手法に倣って目的のカルベン錯体を得ることを試みた。すなわちこの手法はクロム等の遷移金属錯体に対し、トリフルオロメチル基、続いてアミノ基を別個に導入するものである。実際にこれに従う多くの実験を行ったが、最初のトリフルオロメチル化が進行せず、目的のカルベン錯体は得られなかった。これはトリフルオロメチル化求核種の反応性、安定性に起因すると考えたので、次に示す手法を試みた。 (2)トリフルオロメチル基及び窒素官能基を有する遷移金属錯体(前駆体)を合成し、この錯体は異性化させることにより目的のカルベン錯体を得る手法を考案した。具体的に前駆体として用いた錯体は、当該研究室で開発されたハロゲン化トリフルオロアセトイミドイルをパラジウムに酸化的付加させ、得られるイミドイルパラジウム錯体である。目的のカルベン錯体前駆体に相当するトリフルオロアセトイミドイルパラジウム錯体である。目的のカルベン錯体前駆体に相当するトリフルオロアセトイミドイルパラジウム錯体の合成に成功し、この錯体の単離及びX線結晶構造解析を行った。現在、求電子剤を用いるカルベン錯体の異性化及びこれを用いる有機合成反応の開発を行っている。
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