1997 Fiscal Year Annual Research Report
自然対流型地熱系の形成と地熱開発とで必要とされる異なったスケールの断裂系評価
Project/Area Number |
09751028
|
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
加藤 昌治 北海道大学, 大学院・工学研究科, 助手 (10250474)
|
Keywords | 自然対流型地熱資源 / 熱水対流系 / 断裂系 / き裂 / き裂の可視化 / 球関数 / ボーリングコア / き裂頻度 |
Research Abstract |
自然対流型地熱資源の可採量評価に欠かせない断裂系の定量評価を目的として,今年度は,熱水対流系の形成に寄与するき裂群と地熱開発に必要とされるき裂群という異なったサイズスケールの断裂系を個々に評価した。これにより得られた成果は以下のようである。 1.熱水対流系の形成に寄与する断裂系の評価 熱水対流系の形成には岩石の微視き裂も関与する。そのため,微視き裂の可視化手法を検討し,き裂の分布特性,特に方向性に関する解析をおこなった。可視化手法としては,青色樹脂,探傷剤,蛍光剤を添加した樹脂の有効性を検討し,目的に応じて使い分けた。偏光顕微鏡あるいは実体顕微鏡によりき裂性岩石の微視き裂の観察をある直交三面で行い,球関数を用いることによりき裂方向の三次元分布を評価した。その結果,き裂の卓越方向は岩石の一番割れやすい面(リフト面)に平行な方向とほぼ一致した。 2.地熱開発に必要とされる断裂系の評価 地熱開発に必要とされる断裂系とは,坑井掘削時に逸泥が発生するようなき裂群である。そこで,今年度地熱地帯に掘削された2本の1,000m級のボーリングコアの目視によるき裂調査を実施した。2本合わせて数千カ所のき裂・破砕帯を抽出し,RQDやき裂頻度を計算したところ,その深度依存性にある程度の傾向が認められた。 次年度の研究の展開として,上記1,2で得られた結果を基にして,両断裂系と岩石あるいは貯留層の透水性との関係を抽出し,自然対流型地熱系の発生から衰退への過程を数値シミュレーションにより再現する。
|