1997 Fiscal Year Annual Research Report
固定化レクチンを用いた海底堆積物中の微生物の分離法に関する研究
Project/Area Number |
09760173
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
西村 昌彦 東京大学, 海洋研究所, 助手 (10242174)
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Keywords | 海洋微生物 / レクチン / 分離法 |
Research Abstract |
本研究での使用が考えられる酸化鉄微粒子は粒子経2.8μmのDynal社のものと粒子経1μmのBioMag社の製品があり、初めに双方のビーズの比較検討を行った。その結果、BioMag社の製品でより良好な結果を得たので、以後の実験にはBioMagビーズを使用する事とした。初めにストレプトアビジンによりコーティングされたビーズ(1mg)に対して1mg/mLのビオチン化レクチンを400μL反応させた。反応させたレクチンビーズ10^8/mLを10^7cells/mLに調整した2種の海洋細菌Vibrio alginolyticus,Pseudomonas nauticaに添加して細胞の吸着回収率を検討した。同時にどのレクチンが海洋細菌に対して強い親和力を持つかをVibrio alginolyticusをモデル微生物として比較検討した。レクチンはConA,DBA,LCA,PHA-E4,PNA,RCA120,UEA-I,WGAを用いた。その結果小麦由来レクチンWGAが適当かと思われたので以後の実験にはレクチンとしてWGAを用いた。その後、微生物の吸着回収試験をWGAliganded beadsで数種の海洋細菌に対して繰り返し行い、ビーズの濃度、細胞の濃度、さらにビーズ:細胞比を検討したところ、細胞濃度は10^6cells/mL,ビーズ濃度は5x10^7particles/mL(ビーズ:細胞数=50:1)という条件を設定した。この条件でVibrio Fischeri,Photobacterium Phosphoreum,Deleya Marinaを用いた吸着実験を行った結果、VF、DM、PPでそれぞれ83%、76%、72%、の吸着率を得た。一方で、単糖N-acetyl glucosamineを添加しての細胞のビーズからの剥離率を検討したところDMでは20%であったのに対してPPでは5%、VFでは3%という低い値であった。グラム陰性菌ではこのビーズからの細胞の剥離率が低いというのは文献と一致するが、細胞の剥離に酵素処理を用いることも現在検討している。
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