1997 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09760192
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Research Institution | 東京水産大学 |
Principal Investigator |
嶋倉 邦嘉 東京水産大学, 水産学部, 助手 (10226201)
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Keywords | アレルゲン / パルブアルブミン / 食物アレルギー / ウナギ / メバチ |
Research Abstract |
1.分類学上多岐にわたり,かつ大衆性も考慮して選んだ9種の魚(ウナギ,ニシン,シロザケ,スケトウダラ,サンマ,キンメダイ,マダイ,マサバおよびメバチ)の筋肉の加熱抽出液を作成した。これら抽出液の魚アレルギー患者(国内の5名)血清IgEとの反応性をELISAによって評価した。その結果,抽出液の反応性の強弱は患者毎に異なっていたが,うち3名の血清はいずれも魚種ともにほぼ均等に反応が陽性であった。しかし,反他の2名の血清は,いずれもウナギ,およびメバチに対してのみ著しく反応性が高かった。 2.ウナギとメバチの抽出液をゲルろ過(SepahdexG-75)に供し,溶出液を分取した。各フラクションに対する患者血清の反応性をELISAで調べた。その結果,5患者血清中2名はフラクション15番(排除限界付近)前後にのみ,他の2名は30番付近にのみ,残りの1名はこれらの両者に対して陽性を示した。30番前後に反応陽性だった血清,および15番,30番前後の両者に血清が認められた血清は,1の前者3名の患者血清であった。 2.のフラクション30番前後の画分を逆相HPLC(TSKgel ODS-120T)に供し,得られたピークの患者血清に対する反応性を調べた。ウナギ,メバチいずれも複数の顕著なピークを得た。1.の前者3名の患者血清は,これらのいずれの画分に対しても,ELISAの反応が陽性であった。これらの画分はアミノ酸組成,SDS-PAGE,および抗パルブアルブミン抗体との反応性などの結果から,いずれもパルブアルブミンであると同定した。一方,同抗体は2.の15番付近の画分との反応性を示さず,新規のアレルゲン成分であることが示唆された。 4.現在2.の15番付近の画分を集め,これらに含まれるアレルゲンの精製を試みているところである。
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