1997 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09760194
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Research Institution | Saga University |
Principal Investigator |
濱 洋一郎 佐賀大学, 農学部, 助教授 (00243999)
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Keywords | 魚類 / 粘質物 / 糖タンパク質 / ヒドラジン分解 / ムチン / o-配糖体 / KDN / 糖鎖 |
Research Abstract |
1.ヒドラジン分解の最適条件の設定‥…ドジョウ体表粘液糖タンパク質から調製した糖ペプチドを試料に用い,ヒドラジン分解によるKDN含有ムチン型糖鎖遊離のための最適条件を検討した.試料100μgに無水ヒドラジン200μlを加え,40,60または80℃で0〜15h加熱しヒドラジン分解を行った.分解物をシリカゲルTLCで分析し,デンシトメトリーによって各遊離糖鎖量を概算した.40℃反応物中には遊離糖鎖はほとんど検出されなかった.60,80℃反応物では,主要な2種類の糖鎖[KDNα2→6GalNAc,KDNα2→3(KDNα2→6)GalNAc]に基づく2つのバンドおよび反応中にこれらの糖鎖から脱離したと考えられるKDNのバンドが観察された.遊離糖鎖量は,60℃反応では反応時間の増加に伴い直線的に増加し,80℃では反応開始後2.5hまで急増し7.5hでプラトーに達し15hで減少した.供試条件下でのヒドラジン分解の最適条件は,80℃,7.5hと考えられた. 2.ピリジルアミノ(PA)化蛍光標識糖鎖の調製およびHPLC分析…ドジョウ体表粘液糖タンパク質に存在する主要糖鎖2種を分離し,そのPA化誘導体を調製した.すなわち,ドジョウ糖ペプチド(10mg)を,前項で決定した最適条件下でヒドラジン分解し,得られた分解物から,順相HPLC(アミノ基結合シリカゲルカラム)で2種の主要糖鎖を単難した.脱塩後,常法に従いPA化誘導体を調製した.これらのPA化糖鎖は,逆相HPLC(ODSカラム)で十分に相互分離し,単位モルあたりの蛍光強度は糖鎖構造の違いに関わらずほぼ一定であった(日常的な検出限界,およそ10pmol).次に,ヒドラジン分解物を直接PA化後HPLC分析を行い,ピーク面積から遊離糖鎖量を算出した.その結果,最大でドジョウ糖ペプチド全糖鎖中のおよそ50%の糖鎖が遊離していることを明らかにした.さらに,主要糖鎖に加えて,TLCでは検出されなかった微量糖鎖がHPLC上で検出された.
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