1997 Fiscal Year Annual Research Report
マレック病腫瘍化におけるアポトーシス関連及び癌抑制遺伝子の発現動態の解析
Project/Area Number |
09760262
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
大橋 和彦 北海道大学, 大学院獣医学研究科, 助手 (90250498)
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Keywords | アポトーシス / マレック病 / bcl-2 |
Research Abstract |
MDV腫瘍化における発癌抑制遺伝子やアポトーシス関連遺伝子の役割を解析するため、鶏腫瘍から得られた各種腫瘍細胞株での発癌遺伝子の発現をノーザンブロットやRT-PCRにより解析した。細胞株はマレック病(MD)由来のみならず、MD特異的変化を見いだすため鶏白血病(AL)や細網内皮症(RE)由来の細胞株を用い、既にクローニングされているp53、bcl-2やbcl-x遺伝子の発現について検討した。報告されている塩基配列よりプライマーをデザインしてPCRによりプローブを調製し、bcl-xについてはスプライシングの違いによりL型とS型が存在するので、これらを区別するためにbcl-x遺伝子の発現をRT-PCRによっても解析した。その結果、AL、RE由来細胞株ではbcl-2遺伝子が発現していたが原発性MD由来細胞株では検出限界以下であった。しかしMD細胞株ではアポトーシスを抑制するbcl-xSがAL、RE由来細胞株に比べて優位に発現していた。またPMA+Ionomycin刺激により正常鶏由来リンパ球ではアポトーシスを促進するbcl-xLが発現したのに対しMD細胞株ではbcl-xSが恒常的に発現していた。これらの結果よりMDではbcl-2よりもbcl-xSの発現が腫瘍化の維持に関与していることが示された。しかし可移植性MD細胞株では若干のbcl-2が発現しているので、bcl-2が腫瘍の悪性化や転移等に関わっている可能性も示唆された。今後bcl-2遺伝子の遺伝子導入によりbcl-2発現MD腫瘍細胞株を作成し鶏に対する移植性を検討する予定である。また実験的に腫瘍原性MDVや非病原性MDV(血清型2及び3)を感染させた鶏における上記の発癌遺伝子の発現をノーザンブロットやRT-PCRによりモニターして、アポトーシス関連遺伝子などの発現に血清型に依存した特異的違いが存在するかどうかを検討する。
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Research Products
(1 results)