1997 Fiscal Year Annual Research Report
変異ダイナミン遺伝子導入細胞の接着・移動におけるエンドサイトーシス関与の解明
Project/Area Number |
09770005
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Research Institution | 山梨医科大学 |
Principal Investigator |
馬場 健 山梨医科大学, 医学部, 講師 (90208710)
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Keywords | ダイナミン / エンドサイトーシス / インテグリン / 細胞接着 / コンフォーカル顕微鏡 |
Research Abstract |
温度感受性にエンドサイトーシスを障害する変異ダイナミン(tsダイナミン)遺伝子導入細胞を用いて、細胞の接着および伸展に対するエンドサイトーシスの関与を明らかにするために、以下の研究を行った。1.ts変異ダイナミン導入細胞におけるインテグリンのエンドサイトーシスの検討:野生型(wt)ダイナミンおよび温度感受性変異(ts)ダイナミンを導入したHeLa細胞を用いた。カバーグラス付着細胞あるいはEDTA処理による浮遊細胞における、Texas Red標識抗ヒトβ1-インテグリンモノクローン抗体とBODIPY FL標識トランスフェリンのエンドサイトーシスを許容温度(30℃)と非許容温度(38℃)で経時的にコンフォーカル」顕微鏡で観察した。その結果、30℃ではtsダイナミン細胞のインテグリン、トランスフェリンのエンドサイトーシスは、wtダイナミン細胞と同様であったが、38℃ではインテグリン、トランスフェリンのエンドサイトーシスは著しく阻害されていた。2.ts変異ダイナミン導入細胞のファイブロネクチン上での付着・伸展性の検討:wtあるいはts変異ダイナミン導入細胞をEDTA処理により浮遊させ、ファイブロネクチンで処理したプラスチックディッシュに加え、30℃あるいは38℃における細胞付着・伸展性を経時的に位相差顕微鏡下で観察した。その結果、38℃では10分後に、細胞の付着がみられたが、細胞質を伸展させている細胞はみられなかった。15分後以降には、ディッシュに付着し、細胞質を伸展させている細胞の割合が増加していったが、細胞伸展性、細胞形態ともに、wtダイナミとtsダイナミン導入細胞の間に違いは見られなかった。以上の結果より,ts変異ダイナミン導入細胞でのインテグリンのエンドサイトーシスの障害は、ts細胞の初期接着・伸展過程には影響が少ないことが示唆された。
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