1997 Fiscal Year Annual Research Report
マウス掌蹠皮膚紋理を指標とした,四肢形態形成に関わる遺伝子の解析
Project/Area Number |
09770011
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Research Institution | Sapporo Medical University |
Principal Investigator |
津金 瑞代 札幌医科大学, 医学部, 助手 (10285017)
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Keywords | マウス / 四肢形態形成 / 背腹軸 / 催奇形実験 / 細胞死 / 遺伝子発現 / 染色体マッピング / 皮膚紋理 |
Research Abstract |
1.四肢腹側構造の背側化を来す突然変異マウスmeromelia(mem)の解析 (1)meromelia肢芽における遺伝子発現パターンを全載in situハイブリダイゼーション法にて調べた.その結果,肢芽の腹側決定因子En-1と背側決定因子Wnt-7aの発現に強く異常が見られたにもかかわらず,外胚葉性頂堤(AER)のマーカーFgf-4,-8の発現に異常は見られなかった.これらの結果は従来のどの変異マウスとも異なっており,En-1とWnt-7aがAERの位置決定に関与するという最近主流の説に異を唱える結果となった. (2)多型解析により,mem遺伝子は13番染色体の末端近くにマッピングされた.この付近に四肢形成に関わる他の遺伝子は知られていないため,memが新規遺伝子であることが確認された.現在,mem遺伝子のクローニングを目的としてファインマッピングを進めている. 2.催奇形物質投与による四肢奇形と細胞死・遺伝子発現パターンの解析 (1)5-FUを妊娠10.5日及び11.5日のマウスに投与し,胎仔肢芽における細胞死と遺伝子発現パターンを調べた所,10.5日投与では肢芽全体の強い細胞死が誘起され早期に多指が形成され,11.5日投与では指部分のみ細胞死が誘起され欠指が形成されることがわかった.しかしShh,Fgf-4,-8の発現に異常はみられなかった. (2)同様にカドミウムを妊娠10.5日マウスに投与し胎仔肢芽を調べた所,Shh,Fgf-4,-8の発現に強い異常が見られたにもかかわらず細胞死と指列パターンに異常はみられなかった. これらについて新たにプローブを入手したHoxa-11,13,Hoxd-10,11,12,13の発現パターンを調べる予定である.
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