1997 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09770255
|
Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
宮村 季浩 山梨大学, 保健管理センター, 講師 (30270961)
|
Keywords | 膝痛 / 変形性膝関節症 / 危険因子 / 疫学調査 |
Research Abstract |
膝痛の原因の一つである変形性膝関節症の出現頻度や危険因子を明らかにする目的で、山梨県塩山市の2地区内に居住する20歳以上の成人全員を対象に、膝痛の有無や生活習慣、身長、体重に関する質問紙による調査を行った。その結果を平成9年10月の日本公衆衛生学会総会(横浜)にて発表した。以下にその要旨を記す。 1.加齢は膝痛の大きな危険因子であり、65歳以上で膝痛のある人の割合が男性で56.31%、女性で65.52%となり、半数以上の人が膝痛に悩まされることを示している。 2.膝痛は男性よりも女性に多く出現し、特に60歳から69歳の間でその傾向が著明である。この年代は女性にとり閉経後5年から10年が経過し、閉経後の骨密度が急速に減少する時期を過ぎた年代である。骨密度と膝痛の関係は明らかになっていないが、骨密度の急速な減少と何か関係があるかもしれない。 3.女性においては、太めの体型の者ほど膝痛が出現しやすいが、男性ではこの傾向は認められない。これは、男性では女性ほど体型が膝痛の出現に影響しないことを示しており、男性と女性では膝痛の危険因子が異なる可能性を示唆している。 以上の加齢、女性、肥満といった膝痛の危険因子は、各国の疫学調査が指摘している変形性膝関節症の危険因子と一致する。これは、膝痛の原因疾患の多くが変形性膝関節症であることによるものと考える。 さらに引き続いて、膝痛の原因疾患の究明、膝痛と骨密度の関係を検討する目的で、質問紙調査の有所見者に対する膝の理学的診断、X線検査および骨密度測定を行っており、平成10年6月まで続けて行う予定である。 変形性膝関節症をはじめ膝痛の原因疾患は治療困難なものが多く予防が重要である。今回、女性において太めの体型が膝痛の危険因子の一つであることが明らかになった。今後明らかになる危険因子をもとにした膝痛予防への取り組みが高齢化社会に向けて必要と考える。
|
Research Products
(2 results)