1997 Fiscal Year Annual Research Report
メチルチオアデノシンホスホリラーゼ遺伝子欠失と抗癌療法の関連性について
Project/Area Number |
09770330
|
Research Institution | Tokyo Women's Medical University |
Principal Investigator |
都々川 新 東京女子医科大学, 医学部, 助手 (00271320)
|
Keywords | メチルチオアデノシンホスホリラーゼ / 癌抑制遺伝子 / サザーンブロット / Competitive PCR |
Research Abstract |
今回我々は、MTAP(methylthioadenosine phosphorylase)遺伝子欠失の癌を検出する方法の確立を試みた。 【方法】手術により得られた癌細胞を含む組織を-20℃で凍結保存する。のちに一括して4℃でhomogenizerで壊し、フェノールを用いてゲノムDNAを抽出した。また、健常者のB細胞株からもゲノムDNAを抽出した。 MTAP遺伝子のサザーンブロットは、digoxigeninによるアイソトープを用いないhybridizationで行った。また、コントロールとしてAPRT遺伝子に対するサザーンブロツトも同様に行った。 MTAP遺伝子に対するcompetitorは、IL-1βMIMIC(CLONTECH社)を用いて作成し、competitive PCRを行った。MTAP遺伝子およびcompetitorに由来するPCR産物はアガロースゲル電気泳動後、NIH Image 1.55により解析・定量化した。 【結果と考察】 1.APRT遺伝子のサザーンブロットは健常者のB細胞株のゲノムDNAでは可能であったが、癌細胞の凍結標本から抽出したゲノムDNAではバンドが検出されなかった。これは、標本からのDNA抽出過程において、標本をhomogenjzeする際に、サザーンブロットに十分な長さのゲノムDNAが壊れるためであろうと推測された。 2.MTAP遺伝子に対するcomeptitive PCRはすでに20例の大腸癌の手術標本より得られたゲノムDNAを用いて行ったが、現在のところ、MTAP遺伝子が欠失している症例は見つかっていない。 3.MTAP遺伝子のサザーンブロットはviable cellからゲノムDNAを抽出した場合には可能であると考えられるが、凍結標本からは困難であると考えられる。したがって、凍結標本の場合にはcomeptitive PCRを用いる診断法が有用であろうと考えられた。
|