1997 Fiscal Year Annual Research Report
一酸化窒素(NO)の膵炎重症化における意義〜IRF-1ノックアウトマウスを用いて
Project/Area Number |
09770340
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
鹿志村 純也 東北大学, 医学部・附属病院, 助手 (30282049)
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Keywords | 急性膵炎 / 一酸化窒素(NO) / マウス / セルレイン膵炎 / IRF-1 |
Research Abstract |
急性膵炎の重症化には一酸化窒素(NO)の関与が注目されている。すなわち、膵炎発症時に腹腔マクロファージは各種刺激を受け誘導型NO合成酵素(iNOS)を発現し、大量のNOを長時間にわたり産生放出する。このNOが逸脱した活性膵酵素と共に標的正常細胞を障害、破壊しMOFを惹起し、重症化するというものである。 以下、実験結果を示す。 IRF-1 Knock outマウスでの膵炎像の検討:雄性IRF-1 Knock outマウスと対照として雄性CD-1マウスを用い,セルレイイン膵炎(セルレインは20μg/kgを4回腹腔内投与)を作成した。血清アミラーゼ値は、18277±2684 vs 22201±2641、edema indexは、10.34±0.40 vs 10.75±0.35とIRF-1KOマウスとコントロール群とで有意な差を認めなかった。膵組織像も明らかな差を認めなかった。INF regul atory factor elementに結合しiNOS遺伝子の転写促進作用を有するIRF-1は、軽症膵炎であるセルレイン膵炎において大きな役割を果たしていないと考えられた。 LPS腹腔内前投与によるマウスセルレイン膵炎の重症化の検討:LPS2mg/kgを前投与して膵炎を作成した。以前の報告と異なり、膵炎の増悪は認めなかった。 マウスタウロコール酸膵炎誘導:ラットと異なり、マウス膵管内ヘタウロコール酸を注入し、膵炎を作成することは、非常に困難であり、マウス重症膵炎としてのタウロコール酸膵炎をモデルとして確立できていない。 今後の計画:確立された重症膵炎モデルであるラットタウロコール酸膵炎を用いて、ラジカル-ラジカルカップリング反応により直接NOをNO_2に酸化,除去し、その生理作用を定量的に阻害し、かつ、水溶液中においても非常に安定な有機ラジカル種を有するimidazolineoxyN-oxide (PTIO)系化合物誘導体の効果をMOFへの進展度、生存率、膵組織像にて検討する。
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