1997 Fiscal Year Annual Research Report
潰瘍性大腸炎末梢血CD14+CD16+単球分画の組織移行性と局所炎症評価
Project/Area Number |
09770349
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
杉村 一仁 新潟大学, 医学部・附属病院, 助手 (80270940)
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Keywords | 潰瘍性大腸炎 / 単球 / 臍帯静脈血管内皮 |
Research Abstract |
潰瘍性大腸炎(UC)患者において末梢血より組織内遊走してきた単球が、炎症の持続に関与していることが想定されている。近年ヒト末梢血単球はCD14+DC16+(DP)とCD14+CD16-(SP)の二つに分画されることが報告され、DP単球は組織内へ遊走し組織Mphiに分化すると考えられるようになった。[方法]インフォームドコンセントを得たUC33例、CD6例、腸管ベーチェット(BD)3例、感染性腸炎(IC)1例、健常人16例より、末梢全血をEDTA採血した。このうち7例に大腸内視鏡検査を施行し、大腸各部位より得られた生検組織に対しHarvey and Bradshawらの基準に従い組織学的検討を加えた。DP単球比率は、CD14;M3 FITC CD16;Leu-11cPEを用い全血染色法を用いてFACS解析により検討された。単球血管内皮移入実験は、Meerschaert J.(J Immunology 1994)らの方法に基づき、血管内皮を2、0.2、0ng/mlのIL-1bで刺激し、UC/健常人におけるDP・SP各単球分画の血管内皮遊走性を検討した。[結果](1)UCにおける末梢血DP比率(Mean±SD,4.33±4.06)は、健常人(11.49±8.45)に比し有意に低下していた(p=0.001)。CD,BD,ICでは活動性の炎症状態にも関わらずDP単球比率に明らかな変化は認めなかった。(2)組織学的検討では、DP単球比率は、大腸粘膜におけるLPL浸潤と負の相関の傾向を示したが、一方で好中球浸潤や腸上皮の脱落及び陰窩膿瘍の程度とは関連を認めなかった。(3)単球遊走試験におていは、UC・健常群双方においてDP単球はSP単球に比してすべてのIL-1b濃度で有意に遊走性が高かった。[考察]DP単球は活性化血管内皮に反応し炎症組織中に素早く遊走する事実に加え、粘膜内LPMC浸潤がDP単球比率と負の相関傾向にあることにより、DP単球の組織内遊走がUC末梢血におけるDP単球比率の低下を引き起こしていることが示唆された。現在IBD大腸粘膜内単球分画の解析と、各単球分画におけるIL-10産生能に関して継続して検討を加えている。
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