1997 Fiscal Year Annual Research Report
肝免疫担当細胞(kupffer細胞、Pit細胞)による肝細胞癌の増殖抑制機序:NOおよびTNF-αの関与
Project/Area Number |
09770382
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
渡部 直行 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (10255466)
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Keywords | 肝癌細胞DNA障害 / アポトーシス / Kupffer細胞 / Pit細胞 / NO / TNF-α / 接着因子 / 共焦点レーザー顕微鏡 |
Research Abstract |
当申請費により、肝(Kupffer細胞)によるNO・TNF-α放出動態と肝癌細胞障害・アポトーシスとの時間的空間的相関およびその制御機構を解明した。まず、Kupffer細胞と肝癌細胞の共培養系におけるKupffer細胞内のNF-κB活性化をfluorescence in situ DNA-protein binding assayを用いて観察し、またfluorescence in situ hybridization法を用いてiNOS・TNF-α mRNA発現を観察した。さらにこの際のNOおよびTNF-α産生の定量を行った。次に接着因子を介したKupffer細胞-肝癌細胞間接着反応を観察するために、ICAM-1,CD11/CD18,P-selectin,E-selectinおよびL-selectinに対するモノクローナル抗体を共培養系に添加した際の、Kupffer細胞内におけるNF-κB活性化、iNOS・TNF-α mRNAの発現およびNO・TNF-α産生能に対する影響を検討した。またFlowcytometryおよび共焦点レーザー顕微鏡を用いて単・共培養におけるICAM-1,CD11/CD18,P-,E-およびL-selectinの培養細胞膜への発現を観察・定量化した。転写因子活性化ならびに肝癌細胞内DNA断片化(アポトーシス)を蛍光を用いて可視化、定量するシステムを確立した。さらにTNF-αおよびNOの関与を裏付けるために各々のmRNAに対するアンチセンスプローブを用いて抑制実験を行った。加えて、各種阻害剤や各接着因子に対するモノクローナル抗体を用いて、NO・TNF-αを介したマクロアファージの腫瘍細胞障害過程の初期段階としての細胞間接着反応やその後の転写因子の活性化の重要性を明らかとした。以上の検討から肝癌細胞との接着反応からKupffer細胞活性化に伴うNO・TNF-α放出と腫瘍細胞アポトーシス過程の詳細を解明する事が可能となった。現在は、同実験的手法を用いて肝リンパ球の肝細胞障害機序につき検討中である。
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