1998 Fiscal Year Annual Research Report
肝免疫担当細胞(Kupffer細胞、Pit細胞)による肝細胞癌の増殖抑制機序:NOおよびTNF-αの関与
Project/Area Number |
09770382
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
渡部 直行 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (10255466)
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Keywords | Kupffer細胞 / Pit細胞 / 肝細胞癌 / NO / TNF-α / アポトーシス / オステオポンチン |
Research Abstract |
本研究では、肝免疫担当細胞の一つであるKupffer細胞によるNOおよびTNF-αの放出動態の解明を行った.またさらに、これらによる肝癌細胞障害や肝癌細胞内DNA断片化(アボトーシス)との時間的空間的相関およびその制御機構の解明を行った.まずKupffer細胞と肝癌細胞の共培養系におけるNO・TNF-α産生の定量と、転写因子活性化ならびにアボトーシスを蛍光を用いて可視化、定量するシステムを確立した。この結果、Kupffer細胞と肝癌細胞を共培養することにより、接着因子CD18/ICAM-1を介した肝癌細胞との接着反応からKupffer細胞の転写因子NF-κBが活性化され、iNos・TNF-αのmRNAの転写が促進されることが明らかとなった.これにより、Kupffer細胞から放出されたNo・TNF-αが相乗効果的に肝癌細胞に対してアボトーシスを引き起こすことが明らかとなった.近年、NK(Natural Killer)細胞を初めとするリンパ球系細胞から放出されるオステオボンチンというペプチドがマクロファージ等のiNOS誘導を阻害することが報告され、新たな免疫・抗癌活性調節機序として注目を集めている.このNK活性を有するPit細胞とKupffer細胞を共培養することにより、Kupffer細胞由来NOによるPit細胞のオステオボンチンや抗肝癌活性に対する影響を、またPit細胞由来オステオボンチンによるKupffer細胞のNO・TNF-α産生および抗肝癌活性に及ぼす検討を行っている。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] 渡部直行: "虚血再還流胃粘膜障害におけるNO合成酵素系の空間的遷移。" Ulcer Research(実験潰瘍). 23. 151-155 (1996)
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[Publications] Kurose I: "CD18/ICAM-1 dependent nitric oxide production of Kupffer cells as a cause of mitchondrial dysfunction in hepatoma cells:Influence of chronic alcohol feeding." Free Radical Biol Med. 22. 229-239 (1997)