1997 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09770385
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Research Institution | Jikei University School of Medicine |
Principal Investigator |
小井戸 薫雄 東京慈恵会医科大学, 医学部, 助手 (70266617)
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Keywords | 血清DNA / 大腸癌 / 遺伝子診断 / K-ras遺伝子 |
Research Abstract |
本年度は研究材料と実験系の確立をした。以前より報告されている、血清からのDNAの抽出法は超遠心を必要とし労力と手間がかかっていた。そこで血清から簡便にしかも再現性をもって、DNAの抽出ができる方法を開発した。この方法では同時に血清中のテロメラーゼ活性を調べる材料の収集も可能となった。具体的には、患者の同意のもと、EDTAとともに採血を10cc行い、3000rpm,30分遠心にて血清を分離後フィコール液にてbuffy coatを完全に除去した。またbuffy coatは同時にリンパ球層と非リンパ球層に分離することができた。癌患者はリンパ球に健常人よりもテロメラーゼ活性がみられるため、擬陽性を除去するため非リンパ球層をテロメラーゼ活性を検討する材料とした。一方、上記にて分離した血清はフェノール処理にてある程度の除タンパク後、セントリプラスを用い濃縮し、フェノール・クロロフォルム処理後エタノール沈殿をおこなた。この方法では超遠心を行わず、リンパ球や癌細胞の除去ができ、血清から再現性をもってDNAの抽出が可能であった。また患者の同意のもと得た癌組織は一部をAmex固定としDNAの抽出用と免疫組織化学用とした。HEの組織診断と対応した癌部位よりDNAの抽出をおこなた。さらに、上記のごとく得た癌患者の血清中のDNAと正常コントロールとしてリンパ球のDNAを用いて、K-ras遺伝子の点突然変異の有無を検討した。血清中のK-rasはMASA法では3/5、PCR-SSCP法では2/5に異常がみられた。同患者の癌組織からはMASA法とPCR-SSCP法のいずれにおいても3/5に異常がみられた。MASA法は検出感度は高いと報告されているが、癌組織ではわずかな頻度の異常もとらえられるため結果の解釈が問題となっている。血清中のDNAはわずかにしか存在しないため、MASA法にて行った方が原発の癌の遺伝子状態を反映していると考えられた。
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