1998 Fiscal Year Annual Research Report
自己免疫性肝炎自然発症モデルを用いた重症肝障害の解析
Project/Area Number |
09770393
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Research Institution | Kansai Medical University |
Principal Investigator |
天羽 康雄 関西医科大学, 医学部, 助手 (10278608)
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Keywords | 自己免疫性肝炎 / 重症肝障害 / エンドトキシン |
Research Abstract |
【背景・目的】自己免疫性肝炎の重症化或いは劇症化といった問題に対して様々な検討がなされて来ているが、同症の自然史の中での解析は進んでいない。その理由の一つに、これまで自己免疫性肝炎を自然発症するモデルマウスが存在しなかった点が挙げられる。そこで、我々の確立した免疫性肝炎自然発症モデルマウス(W/BF1)(Immunobiology;(197)31-43,1997)を用い、その自然史の中における重症化についての検討を試みた。【対象・方法】W/BF1マウスおよびBALB/cマウスを用い、週齢別にLipopolisaccaride(LPS)を静注し、死亡率の検討、光顕、電顕にての肝組織の検討を行うと共に、LPS投与6時間後の血清中TNFαの測定を行った。また、末梢血細胞の表面マーカーとの関連性を検討した。 【結果】1.W/BF1マウス群には死亡個体が確認されたが、正常マウスであるBALB/cマウスは全例生存した。2.8週齢W/BF1マウスは全例生存したが、20週齢W/BF1マウスでは、10μg投与群で20%、100μg投与群で60%の死亡が確認された。3.死亡時、肝臓はうっ血調で腫大しており、表面には白色小結節が散見された。時に、消化管出血や血尿も観察された。4.組織学的には、比較的境界明瞭な肝細胞壊死、変性及びうっ血が認められ、細胞質内のグリコーゲン顆粒は消失していた。5.血清中TNFα値は、W/BF1マウスでは週齢と共に高くなる傾向が見られた。6.末梢血のMac-1陽性細胞の比率が30%を越す群では、LPS投与による死亡率は88.9%にのぼった。【まとめ】本系は、ヒト自己免疫性肝炎の重症化、劇症化の解析に有用なモデルとなる可能性が示唆された。Mac-1陽性細胞と死亡との因果関係及び直接死因についての検討が今後の課題と考えている。
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