1997 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09770426
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
熊谷 美穂 東海大学, 医学部, 助手 (20256093)
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Keywords | Chronic hyper capnia / central core / CO_2 narcosis / type I fiber atrophy |
Research Abstract |
本年度はラットに18週間の10%CO_2曝露を行い、PaCO270torr程度のchronic hypercapniaが生体に及ぼす影響を検討した。CO_2曝露を行ったラットは12匹で、対照として空気呼吸のラット7匹を用いた。 (1)分時換気量変化:ラットにCO_2曝露を行うと、無麻酔・無拘束で測定した換気量は空気呼吸時の約2.8倍となり、長期にわたり高換気量を維持していた。chronic hypercapniaのラットに高濃度酸素(90%O_2+10%CO_2)を吸入させて末梢化学受容器をブロックし換気量を測定すると、飼育環境(10%CO_2)と比較して、約15%の換気量低下を認めた。低酸素(6%O_2+10%CO_2+84%N_2)吸入時の換気量は飼育環境と比べ、約20%の換気量増加を認めた。以上の結果は日本適応医学会で発表した。 (2)血液ガス分析:10%CO_2急性曝露での血液ガスはpH7.201±0.044 Pco2 73.0±7.7 Po2 123.7±7.2であった。10%CO_2慢性曝露での血液ガスは、pH7.329±0.039 Pco2 72.4±4.1 Po2123.7±5.5と完全には代償されず、軽度のアシドーシスを呈した。 (3)呼吸筋変化:呼吸筋としてラットの横隔膜を採取し、対照として大腿四頭筋を採取した。長期曝露ラットの横隔膜では、I型筋繊維の萎縮(結果未発表)と、セントラルコア変化を認めた。セントラルコアの発現率について、5%と10%CO_2長期曝露での比較を行ったが、現在のところ、有意差は得られていない。いずれのラットにおいても大腿四頭筋にはセントラルコアは認めなかった。 以上の結果からは、chronic hypercapniaでは、呼吸中枢のCO_2に対する感受性は低下しないと考えられる。(日本呼吸管理学会誌 7巻2号発表) 来年度は長期CO_2曝露により、延髄呼吸ニューロン群の神経伝達物質の変化を検討する予定である。今回の結果からは、神経伝達物質は増加していると予想される。
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Research Products
(2 results)