1998 Fiscal Year Annual Research Report
マシャド-ジョセフ病遺伝子のalternative splicingの解析
Project/Area Number |
09770437
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
渡邊 雅彦 筑波大学, 臨床医学系, 講師 (20282361)
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Keywords | Machado Joseph disease / Triplet repeat / RNA splicing / _cDNA / cerebellar ataxia |
Research Abstract |
1. 組織別発現パターンの解析 目的 Machado-Joseph病(MJD)遺伝子の転写産物の発現パターンを解析する. 材料ならびに方法 凍結剖検脳ならびに培養リンパ芽球より酸グアニジン法により全RNAを抽出した。 脳、培養リンパ芽球全RNA、骨格筋、肺、肝ボリA+RNAを鋳型とし、MJD1遺伝子エクソン1特異的センスプライマー、エクソン3特異的アンチセンスプライマーを用いてRT-PCR解析を行った。同時にG3PDH遺伝子特異的プライマーを用いてRT-PCRを行い、増幅産物を内部コントロールとして各組織における疾患遺伝子の発現量を比較した。 結果 MJD1遺伝子はいずれの組織においても発現していた。脳において他の組織よりも多く発現していた. 考察 疾患遺伝子はubiquitousに発現しており、組織障害の特異性は発現パターンだけでは説明できないと考えられた。 2. 遺伝子変異の発現に及ぼす影響 目的 normal alleleとexpanded alleleの発現パターンを解析する。 材料ならびに方法 患者脳全RNAを鋳型とし、MJD1遺伝子エクソン2特異的センスプライマー、エクソン5特異的アンチセンスプライマーを用いてRT-PCR解析を行った. 結果 nomal alleleとexpaoded alleleはいずれも発現していた. 考察 疾患突然変異は転写活性を大きく損なうことはなく,gain of function mutationの可能性が示唆される. 3. MJDI遺伝子のAltternative splicing 目的 MJDI遺伝子のAltternative splicingパターンを解析する. 材料ならびに方法 剖検脳全助込、骨格筋、肺、ボリA+RNAを鋳型とし、MJD1遺伝子エクソン1特異的センスブライマー、エクソン5特異的アンチセンスブライマーを用いてRT-PCR解析を行った.また各増幅断片を単離し、より内側の配列に特異的なプライマーを用いてnested PCRを行った. 結果 いずれの組織からも複数の転写産物が検出された.Eならびに脳由来の産物はIX功紹IX玉にても増幅可能であったのでM旧遺伝子の転写産物由来する特異的な増幅産鋼であると判断した。 考察 MJD遺伝子の転写産物は多彩なalternative splicingを受け、多種類のアイソフォームレパトアを形成する可能性がある. 4. 遺伝子変異のalternative splicingに及ぼす影響 目的 遺伝子変異のAltemative splicingに及ぼす影響を解析する. 材料ならびに方法 剖検脳、培養リンパ芽球全RNA、骨格筋、肺、肝ポリA+RNAを鋳型とし、MJD1遺伝子エクソン1特異的センスプライマー、エクソン5ならびに6特異的アンチセンスプライマーを用いてRT-PCR解析を行った. 結果 エクソン6のプライマーを用いた場合にはいずれの組織からも複数の転写産物が検出された.エクソン5のプライマーを用いた場合にはコントロールRNAからは増幅が認められたが,患者脳ならびに患者由来リンパ芽球RNAからはcDNA増幅は認められなかった. 考察 疾患突然変異はMJD1遺伝子のエクソン5の使用頻度に影響を及ぼしている可能性がある.エクソン5はトリプレットリピートを有しているので,このスプライシング機構が制御できればポリグルタミン鎖を有する遺伝子産物を選択的に抑制できる可能性がある.
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Research Products
(7 results)
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[Publications] Harada H,Tamaoka A,Watanabe M,et al.: "Downbeat nystagmus in two siblings with spinocorebeilar ataxia type 6 (SCA6)" Journal of the Neurological Science. 160. 161-163 (1998)
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[Publications] Ishikawa K,Watanabe M,et al: "A clinical,neueopathological and molecular study in two families with spinocerebellar ataxia type 6 (SCA6)" Journal of Neurology,Neurosurgery,and Psychiatry. 6(in press). (1999)
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[Publications] 佐藤明子,渡邊雅彦 他: "MRIDにて両側大腿内転筋群に病変を認めた糖尿病性筋梗塞(diabetic muscle infarction)の1例" 臨床神経学. 39・2-3(in press). (1999)
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[Publications] 林 秀明,岸田修二,宮坂 洋,渡辺雅彦,他: "骨髄移植後に発症した慢性進行性放射性脊髄症と考えられる2症例" Brain and Nerre. 50(7). 651-657 (1998)
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[Publications] 林 維菊,林 明人,伊藤直子,大越 教夫,渡邊雅彦 他: "パーキンソン病の歩行障害に対する音リズム刺激の効果の検討" 運動障害. 8(1). 1-7 (1998)
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[Publications] 星野幸子,玉岡 晃,渡邊雅彦 他: "交代性Horner症候群" 神経内科. 49.Suppl.1. 150-151 (1998)
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[Publications] 佐藤明子,渡邊雅彦 他: "高血糖症に伴って発症し両側線条体病変が認められたchorea-ballismの1例" 日本内科学会雑誌. 87(12). 2502-2503 (1998)