1997 Fiscal Year Annual Research Report
筋萎縮性側索硬化症を中心とした複合変性疾患の免疫組織化学的研究
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09770446
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
西中 哲也 岡山大学, 医学部附属病院, 助手 (30284110)
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Keywords | 筋萎縮性側索硬化症 / パーキンソン病 / 痴呆 / ブニナ小体 / レビー小体 / コビキチン陽性顆粒 / ALS |
Research Abstract |
筋萎縮性側索硬化症(以下ALS)では脊髄前角神経細胞内にブニナ小体が出現する.このブニナ小体はALSに疾患特異的な封入体と考えられているが,その本態ほとんどわかっておらず,シスタチンCというプロテイナーゼインヒビターが存在することが証明されているのみである.またパーキンソン病(以下PD)のレビー小体やアルツハイマー型痴呆の神経原線維変化とブニナ小体との間に共通の変化は見つかっていない.そこでALSにパーキンソン病もしくは痴呆を合併した例を神経病理学的検討に詳細に検討すると共に,これらに出現する封入体に共通の抗原を免疫組織化学的に検索した.臨床神経病理学的にALSと診断された症例のうち,PDを合併した1例,PD及び非定型痴呆を合併した1例について検討した.免疫染色にはユビキチン,β-アミロイド蛋白,シスタチンC,GFAP,ニューロフィラメント,クロモグラニン,シナプトフィジンに対する抗体を用いた. 2例に共通して,側頭葉皮質の海綿状変化と神経細胞脱落,扁桃核のグリオーシス,大脳皮質のユビキチン陽性顆粒が認められた.これらの所見はALSでもPDでも時に見られる所見ではあるが,常にではないため,合併例に特徴的と考えた.ブニナ小体については抗シスタチンC抗体以外に新たに染色性が明かとなった抗体は見いだせなかった.2例は単なるALSとPDの偶然の合併ではなくALSの内で特殊な一群である可能性も考えられた 本年度研究期間中新たに,アルツハイマー型老年痴呆を合併したALS1例及び家族性ALS1例の剖検の機会を得たので,これらの症例についても,前2例と同様の検討の準備をすると共に,来年度の超微形態の観察に備え電顕用標本の保存も行った.
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