1997 Fiscal Year Annual Research Report
炎症性神経疾患におけるヘルペス属ウイルスDNAの検討
Project/Area Number |
09770461
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Research Institution | Tokyo Women's Medical University |
Principal Investigator |
植田 美加 東京女子医科大学, 医学部, 助手 (10246514)
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Keywords | 炎症性神経疾患 / ヘルペスウイルス / PCR / 髄液 |
Research Abstract |
慢性,再発性の経過を辿った髄膜脳炎例の髄液に対してpolymerase chain reaction(PCR)法を行い,単純ヘルペスウイルス(HSV)-DNAの疾患との関与を検討.さらにウイルスの半定量を行い,慢性,再発性の経過を辿らない単純ヘルペス脳炎(HSE)と比較,検討した. 1)患者髄液のバンドの濃さと,段階希釈した陽性コントロールを比較することにより,おおよそのウイルス量が測定できた. 2)慢性,再発性髄膜脳炎4例全例で,HSV-DNAは陽性であった.ウイルスDNA量は2例では2×10^2pfu,他の2例では2〜2×10^2pfuを示した. 3)急性HSEでは,5例全例でHSV-DNAは陽性であり,経過を追えた3例では症状の軽快と共にウイルスDNA量は減少した. 以上より 慢性,再発性髄膜脳炎を来した症例では,HSV-DNAの関与が示唆され,起因ウイルスとなっている可能性が考えられた. 急性のHSE症例に比較してもウイルス量は同等かそれ以上認められ,初発から長期間を経てもなおウイルス量は多く,また,持続したあるいは断続的なウイルス増殖があることを強く示唆した. 本年度は炎症性神経疾患患者髄液からDNAを抽出し,PCR法を施行した.特に慢性,再発性髄膜脳炎患者におけるHSV-DNAの関与が示唆された.また,ウイルス量の半定量の確立を行い,慢性例においてウイルス量の変化を観察した. 来年度においてはプライマーを複数の領域内に作製し,PCR法を施行する.また,それにより,Aciclovir耐性株について,検討を行う予定である.
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