1997 Fiscal Year Annual Research Report
女性冠状動脈疾患患者のエストロゲン受容体異常に関する検討
Project/Area Number |
09770502
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
砂山 聡 順天堂大学, 医学部, 助手 (00255663)
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Keywords | coronary artery disease / estrogen receptor gene / polymorphism / RFLP / Pvu II |
Research Abstract |
血管内皮細胞および平滑筋細胞にエストロゲン受容体が存在することが明らかにされ,エストロゲンの血管への直接作用が注目されている.動脈硬化と同様に閉経後に増加する骨粗鬆症とエストロゲン受容体遺伝子多型との関連が報告され,疾患の遺伝的マーカーとしての意義が示唆されている.本研究では,骨粗鬆症との関連が報告されているエストロゲン受容体遺伝子多型と虚血性心疾患との関連を検討した.冠状動物疾患を有する女性80例および健常女性246例の末梢血から抽出されたDNAについて,エストロゲン受容体遺伝子のイントロン1にある多型性部位(Pvu II site)を含む部位をPCR法で増幅し,制限酵素Pvu IIを用いたRFLP解析を行った.エストロゲン受容体遺伝子は,Pvu II切断部位(P2)の有無により3型に分類され,そのうち,Pl/Plが低骨密度に関連すると報告されている.Pl/Plの冠状動脈疾患例,健常例における発現頻度はそれぞれ23%,23%(P=NS)であり,Pvu II変異と冠状動脈疾患との関連について否定的な最近の報告と一致する結果であった. 最近,古典的エストロゲン受容体(ER α)とは異なるβエストロゲン受容体(ER β)が同定され,臓器により分布が異なることが明らかにされた.また,ER αノックアウトマウスの動脈硬化モデルにおいて,エストロゲンの血管内膜肥厚抑制作用が示されている.これらの知見は,エストロゲンの抗動脈硬化作用が,本研究で検討しているER αではなく,ER βを介したものである可能性を示唆する.今後,ER βの遺伝子変異に関しても検討する予定である.
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