1997 Fiscal Year Annual Research Report
冠状動脈硬化症におけるLDL被酸化性と脂肪酸およびリン脂質組成
Project/Area Number |
09770503
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
渡辺 嘉郎 順天堂大学, 医学部, 助手 (40266036)
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Keywords | 冠動脈疾患 / LDL被酸化性 / LDL粒子径 / 脂肪酸 / リン脂質 / 危険因子 |
Research Abstract |
当院にて冠動脈造影検査を行った連続症例のうち血液透析患者、高脂血症薬服用者および抗酸化剤服用者を除外した男性79例、女性23例の患者を対象とした。冠動脈造影上50%以上の有意狭窄を持つ62例(CAD)と持たない40例において検討した。一般的危険因子では、年齢、血圧、糖尿病、肥満がそれぞれCAD群で高く、総コレステロール値高値、HDLコレステロール値低値であった。被酸化性の検討では、CAD群で血漿のTBARS値(2.2±1.2,1.6±0.6nmol/ml)が有意に高値であり、LDL粒子のlag time(43±6,49±9分)の短縮が認められ、被酸化性の亢進が示された。粒子サイズにおいては、CAD群で有意にそのサイズ(25.6±0.5,26.0±0.7nm)が縮小しており、粒子径と被酸化性の指標であるTBARS、lag timeに相関が認められた。LDL粒子中のリン脂質組成特にリゾフォスファチジルコリン(LPC)の比率は、LDLの被酸化性とは相関が認められたが、冠動脈疾患の存在との関連は明らかではなかった。LDL粒子の脂肪酸組成としては多価不飽和脂肪酸および単価不飽和脂肪酸がCAD群で低くC18:2(リノレン酸)の比率が高い、またC18:2(リノレン酸)の比率は被酸化性の一つの指標であるpropagation rateと相関した。 冠動脈疾患とLDLの被酸化性、粒子径との関連がそれぞれ認められたが、冠動脈疾患はmulifuctorialであり、我々の症例においても多くの危険因子が関連している、今後症例を増やし多変量解析を行い脂質の被酸化性の意義を明かとしたい。
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