1997 Fiscal Year Annual Research Report
亜硝酸化合物による血栓抑制作用に対するチオールの役割
Project/Area Number |
09770522
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Research Institution | Kurume University |
Principal Investigator |
森 超夫 久留米大学, 医学部, 助手 (00279176)
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Keywords | 血小板 / チオール / グルタチオン / システイン / 一酸化窒素 |
Research Abstract |
本研究では,細胞内または細胞外のチオールを特異的に増減させる種々の薬剤の亜硝酸化合物(NTG)が有する血小板凝縮抑制作用に対する効果を検討する。 [方法]雄ニュージーランド白兎(2.3-2.7kg)を無作為にコントロール群およびBSO群の2群に分けた.BSO群は1.0gのBSOを24時間以内に3回(約8時間毎,合計3.0g)腹腔内投与した.最終投与から8時間後に25mlのクエン酸採血を行い,以下のプロトコルに従った.まず,血漿中および多血小板内のチオール量をHPLCを用いて測定した.血小板凝集の観察(NTG,NAC,BSOの効果)では,多血小板血漿(PRP)を30万/μlに調節した後,血小板凝集を光透過法による血小板凝集計にて測定した.対照にはPPPを用い,アゴニストにはADP(10μM)を用いた.コントロール群およびBSO群でADP刺激による血小板凝集の観察後,NTG(5,10,50μg/ml)による凝集抑制効果をNTG無添加の凝集能を100%として評価した.また,NTGによる血小板凝集抑制効果を1mMNAC存在下においても同様に検討した. [結果/考察] 血漿中システイン濃度はBSO群にて高値を示す傾向が認められたが,血漿中GSH濃度に関しては両群間で差は認められなかった.血小板中のシステインは検出限界以下であったが,これは血小板中システイン濃度が血漿中と同等かそれ以下であることを意味する.一方,血小板中のGSHはBSO群で有意に低置であった.コントロール群およびBSO群において,ADP刺激下での血小板凝集はNTGにより濃度依存性に抑制された.コントロール群におけるNTGによる血小板凝集抑制はNAC存在下でさらに増強され,50μg/mlNTG添加時の凝集率は有意に低置であった.BSO群におけるNTGによる血小板凝集抑制はNAC非存在下ではコントロール群のそれとほぼ同等であった.NACによる増強効果も軽微でNAC非存在下と有意差を認めなかった.しかしながら,BSO群でのNAC存在下における血小板凝集はコントロール群のそれに比し有意に高値であった. 本研究の結果は,細胞外からのチオール供給によるNTGの血小板凝集抑制の増強過程に血小板内のGSHが重要な役割を果たしていることを示唆する.今後は,これらの条件下でのNTGからのNO放出の測定やcGMP量測定,細胞内外のチオール増減の血小板活性化に及ぼす影響などを検討する.
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