1997 Fiscal Year Annual Research Report
ADH反応性ヒト腎集合管水チャンネルの発現から解明する新生児体液調節未熟性の解明
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09770590
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Research Institution | Kurume University |
Principal Investigator |
樋口 恵美 久留米大学, 医学部, 助手 (50268877)
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Keywords | 新生児 / 脱水症 / 抗利尿ホルモン / Aquaporin-2 / 免疫組織化学 |
Research Abstract |
成人および新生児ラットを用いて、コントロールラットと脱水ラットを作成し、体重、血漿浸透圧、ADH分泌の変化を検討した。成人では、24時間の脱水に伴い、体重は212.5±4.3g(以下mean±SD)から202.8±4.3g(p=0.0004)、新生児では10.6±0.9gから9.3±0.6g(p=0.001)へそれぞれ有意に減少した。血漿浸透圧は、成人では314.0±9.4mOsm/kgH_2Oから337.3±8.3mOsm/kgH_2O(p=0.0001)、新生児では299.6±2.9mOsm/kgH_2Oから324.4±4.7mOsm/kgH_2O(p=0.0000)へ、それぞれ有意に上昇した。血漿ADHは成人では29.9±3.3pg/mLから51.9±18.7pg/mL(p=0.013)、新生児では15.3±5.3pg/mLから31.3±7.9pg/mL(p=0.0001)へとそれぞれ有意に上昇した。一方、抗AQP-2抗体を用いた免疫組織染色により、腎髄質集合管におけるAQP-2蛋白の発現を検討した。新生児のコントロールでは、AQP-2の染色性は弱く、管腔側に強く染まったものの細胞質にびまん性に発現していた。成人は新生児に比較して、AQP-2が強く発現しており、管腔側での発現がとくに強かった。脱水後は、新生児、成人ともにAQP-2の発現量は増加した。染色性から、成人の方が新生児よりも蛋白発現量として多かった。また、成人は、新生児にくらべ、集合管管腔側におけるAQP-2の発現が強かった。以上より、新生児が脱水症をきたしやすい理由として、(1)ADHの分泌能が低い可能性がある、(2)AQP-2蛋白の発現自体が少ない、(3)脱水による管腔側へのAQP-2のsorting量が少ないかその速度が遅い、の3つが示唆された。
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Research Products
(1 results)