1997 Fiscal Year Annual Research Report
皮膚悪性黒色腫におけるアポトーシスの出現とFas-Fas ligandの関与
Project/Area Number |
09770642
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
宿輪 哲生 長崎大学, 医学部附属病院, 講師 (00226292)
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Keywords | 悪性黒色腫 / アポトーシス / 免疫組織化学 / 分子生物学 / 腫瘍免疫 |
Research Abstract |
現在でも予後不良な悪性腫瘍の1つである皮膚悪性黒色腫における増殖とアポトーシスノの発現及びその分子学的制御機構を明らかにするために、ヒト悪性黒色腫20症例の手術摘出標本よりホルマリン固定パラフィン切片を作製し、免疫組織学的手法により検討を行った。抗PCNAモノクロナール抗体を用いた検討では、黒色腫細胞に占める増殖細胞の割合は25-30%と他の癌(皮膚有刺細胞癌、子宮頚癌など)と大きな差がなく、予後とも有意の相関はみられなかった。腫瘍細胞では増殖よりもアポトーシスが予後不良に影響を及ぼすことが推測された。TdT-mediated dUTP nick end labeling法による検索を行ったところ、黒色腫細胞及び腫瘍辺縁に浸潤するリンパ球に陽性細胞を認め、予後不良な症例では黒色腫細胞のアポトーシスは減少する傾向がみられた。さらに黒色腫細胞及び浸潤リンパ球ではFas(CD95)及びFasリガンド(FasL)の発現をみた。悪性黒色腫におけるアポトーシスはFas-FasLの発現が一因になっていることが推察された。また、黒色腫の進展は腫瘍巣表面の表皮角化細胞に増殖とアポトーシス及びFas/FasL系の発現を誘導していることも示された。以上より悪性黒色腫においては黒色腫細胞、浸潤リンパ球及び表皮角化細胞が増殖とFas系を介したアポトーシスを相互に誘導していることが推測された。
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Research Products
(1 results)