1997 Fiscal Year Annual Research Report
透明観察窓を用いた照射後の腫瘍組織内の血流の変動と酸素分圧の測定
Project/Area Number |
09770721
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Research Institution | Kansai Medical University |
Principal Investigator |
志賀 淑子 関西医科大学, 医学部, 助手 (00215956)
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Keywords | 透明観察窓 / 実験腫瘍 / 新生血管 |
Research Abstract |
腫瘍内の血管の豊富性は、腫瘍組織内の薬剤到達性や、腫瘍の放射線感受性に関係する酸素分圧に影響を及ぼす。このため腫瘍組織内の血管床の測定ができれば放射線、抗癌剤、温熱療法での抗腫瘍効果を予知する事が期待できる。従来の血管密度測定の報告は組織を生体より摘出し、血管壁の染色後、鏡見したものが多く、処理後の同一腫瘍内部の変化を経時観察したものは少ない。今回は観察窓内に腫瘍組織を移植し、その増殖速度と内部の血管の増殖変化を同一個体で経時的に観察できたので報告する。我々の観察では腫瘍、移植後8-9日で着床し、腫瘍の成長が認められた。また、腫瘍の内部に壊死が生じるまでの間、腫瘍内部の血管密度は約25%であり、経時的に腫瘍容積と腫瘍血管には高い相関係数(r=0.926)が得られた。 腫瘍成長に伴う血管密度は着床後数日はほぼ一定であり、壊死が生じるまで続くと考えられる。このことは従来より定説となっている「腫瘍内の壊死は血管の増生が腫瘍の増大に追いつかなくなるために生じる」のではなく「腫瘍内の血管は腫瘍の増大に伴い増生していくが、正常組織からの血液供給が不十分のため、または動静脈の圧勾配が不十分になり血液循環が不良になるために生じる」と考えられる。
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