1997 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09770768
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Research Institution | Yamagata Public Corporation For the Development Of Industry, Institute Life Support Technology |
Principal Investigator |
横山 秀克 (財)山形県テクノポリス財団生物ラジカル研究所, 計測法研究開発部, 主任研究員 (10281619)
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Keywords | ドパミン神経 / 活性酸素 / フリーラジカル / 過酸化水素 / 微小電極 / 電気化学 |
Research Abstract |
ドパミン神経は脳内で重要な役割を果たす神経細胞である。ドパミンはモノアミン酸化酵素代謝を受けるが、その代謝過程で活性酸素である過酸化水素が発生することが知られている。こうした活性酸素による細胞障害とドパミン神経障害との関連性が指摘されている(ドパミン神経障害の活性酸素仮説)。このようなドパミン神経障害として、精神分裂病が想定されているが、いまなお原因不明であり難治な疾患である。従って、ドパミン神経障害と活性酸素との関連を解明することは、その治療戦略を考えるうえで極めて重要である。本研究では、無麻酔無拘束下の実験動物の脳内の過酸化水素を微分ダブルパルスアンペロメトリー(1st step:750mV,1s;2nd step:1100mV,1s)で検出する白金円盤(φ30μm)微小電極を開発した。その結果、この電極を用いる過酸化水素計測法は過酸化水素を高感度に(検出限界30nM)検出可能であり、また、ドパミンやアスコルビン酸といった他の酸化物質の影響を受けないことが示された。一方、メタンフェタミン(MAP)はヒトにおいて精神分裂病と類似した症状を生ずる薬剤である。そこでMAPを腹腔内に投与し、行動を観察すると同時に過酸化水素濃度を経時的に測定した。MAP投与は明らかな過酸化水素濃度の上昇をもたらした。この所見は、MAPによりドパミン放出が誘発されるという事実と、ドパミン神経障害の活性酸素仮説と合致するものであり、実験的事実を基にこの仮説の信憑性をさらに裏付けるものである。
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Research Products
(1 results)