1998 Fiscal Year Annual Research Report
フィブリノーゲンと反応する血管内皮細胞上の新たなインテグリンの同定
Project/Area Number |
09770825
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Research Institution | 宮崎医科大学 |
Principal Investigator |
末廣 和久 宮崎医科大学, 医学部, 講師 (00284828)
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Keywords | インテグリン / 血管内皮細胞 / フィブリノーゲン / 接着分子 / RGD配列 / 2価陽イオン |
Research Abstract |
血管内皮細胞は多くの抗血栓機能を有しているが、内皮細胞の損傷により内皮下組織が露呈すると、そこには血小板を主体とした凝集塊が形成され、血栓の形成へとつながる。フィブリノーゲン(Fg)は内皮が損傷を受けた部位に集積し、内皮細胞に対して粘着・伸展・遊走を促進することが知られており、内皮細胞のFgへの接着は、損傷血管の修復や血管新生などに関与すると考えられる。昨年度の研究により、Fgの血管内皮細胞への結合において、内皮細胞上の新たなインテグリンα5β1が関与することを明らかにした。本年度は、アフィニティカラムにより胎盤から精製したα5β1を用いて、Fgとの結合を詳細に検討し、Fg側の認識部位を同定した。まず精製α5β1をプレートに固相化し、ラベルしたFgとの結合を種々の陽イオン存在下で比較したところ、その結合はMn^<2+>+存在下でのみ認められた。Mn^<2+>+存在下でのFgの精製α5β1への結合は、RGD(Arg-Gly-Asp)ペプチドおよび抗α5β1抗体で完全に阻害された。またFgのAα鎖に2ケ所あるRGD配列に対するモノクローナル抗体(Anti-N,Anti-C)による抑制効果を調べたところ、C端側のRGD配列に対するモノクローナル抗体(Anti-C)で有意の抑制が認められた。さらに上記2ケ所のRGD配列をRGEに変換したrecombinant Fg(rFgD97E,rFgD574E)を用いてα5β1への結合を検討したところ、N端側RGD変異体(rFgD97E)では正常と同様の結合が認められたにもかかわらず、C端側RGD変異体(rFgD574E)ではほとんど結合がみられなかった。以上の結果より、FgのC端側RGD配列がα5β1との結合に関与することが明らかになった。
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