1997 Fiscal Year Annual Research Report
糖尿病性腎症進展におけるACE遺伝子多型と低蛋白食の効果についての検討
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09770853
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Research Institution | Jikei University School of Medicine |
Principal Investigator |
丸山 道彦 東京慈恵会医科大学, 医学部, 助手 (10291692)
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Keywords | 糖尿病 / 糖尿病性腎症 / 低蛋白食 / ACE遺伝子 |
Research Abstract |
本研究の目的が、ACE遺伝子多型(deletion/insertion polymorphism)が糖尿病性腎症における低蛋白食の腎機能障害抑制効効果に関与しうるか否かを検証するものであることから、本年度はまず、ACE遺伝子多型の頻度を腎症発症群(顕性腎症期)、腎症末発症群の2群で比較し、遺伝子型の差異を検討するとともに、低蛋白食治療の対象例の選択を行った。NIDDMであって、糖尿病性網膜症を合併し、Ccr<60min/minの腎機能障害を呈する糖尿病性腎症群12名、10年以上の罹病歴を有しながら腎症の発症を認めない腎症末発症群23名の2群について、患者本人の承諾の基に末梢白血球を採取、DNAを抽出し、PCRにてACE遺伝子intron16のD/I多型を決定した。この結果を踏まえ、ACE遺伝子型、年齢、過去3年間のHbA1c、平均血圧を説明変数としてステップワイズ法をにより、多変量解析を行った。それぞれの罹病期間は、糖尿病性腎症群で、15±7年、未発症群で18±7年であり、罹病期間、HbA1c、血圧、年齢はいずれも有意な説明変数とはならなかった。ACE遺伝子型については、未発症群に比較して、糖尿病性腎症群におけるDallele(D/DおよびD/I)の出現頻度のOdd比が、10.8(95%C.I.:1.3-88.6)となり、Dalleleの保有者が糖尿病性腎症を発症するリスクは、I/Iに比べて10.8倍高くなることが示された。一方、Ccr30ml/min前後の腎不全期にあり、ネフローゼ状態の蛋白尿を呈する病例であっても、摂取蛋白0.6-0.8kcal/kgの低蛋白食の処方により栄養障害を生じることなく、腎機能障害進展の抑制効果が見られることを明らかにした。次年度は、この知見を基に、低蛋白食の腎庇護効果とACE遺伝子型との関係を検討したい。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] 宇都宮一典: "糖尿病透析患者の合併症、管理上の特徴と注意点" 腎と透析. 43. 399-403 (1997)
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[Publications] 宇都宮一典: "糖尿病性腎症における低蛋白食の意義-効用と実施上の問題点" 臨床栄養. 90. 554-560 (1997)
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[Publications] 蒲池桂子、宇都宮一典: "症例にみる低蛋白食指導の実際" 臨床栄養. 90. 567-573 (1997)