1997 Fiscal Year Annual Research Report
中枢神経系発生分化過程におけるグルココルチコイドの機能解析
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09770867
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Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
森本 昌史 京都府立医科大学, 医学部, 助手 (10285265)
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Keywords | グルココルチコイドレセプター / 免疫組織化学法 / in situ ハイブリダイゼーション法 |
Research Abstract |
胎生15日,17日,19日の胎仔ラットの脳および日齢0日,3日,7日,10日のラットの脳の凍結切片を作製し,脳の諸領域におけるグルココルチコイドレセプター免疫反応性の分布を抗ラットグルココルチコイドレセプター抗体を用いた免疫組織化学法によって,また,グルココルチコイドレセプターmRNAの分布をフルオレセイン標識されたRNAプローブを用いたin situハイブリダイゼーション法によって検索した。 胎生15日の脳では,グルココルチコイドレセプター免疫反応陽性細胞,mRNA陽性細胞は大脳皮質,視床下部,海馬の原基にわずかに認められ,その免疫反応性は微弱であった。胎生17日から日齢7日にかけて大脳皮質,視床下部,海馬,青斑核など成ラットで高密度に分布する領域においてはグルココルチコイドレセプター免疫反応陽性細胞,mRNA陽性細胞の数が増加し,日齢10日では成ラットの分布パターンと同じ高密度の陽性細胞を認めた。また,それらの領域のグルココルチコイドレセプター免疫反応陽性細胞は胎生17日からすでに強い免疫反応性を示していた。小脳皮質においては日齢0日で顆粒細胞においてグルココルチコイドレセプター免疫反応性,mRNAのシグナルを認め日齢10日にかけてその細胞数は増加したが,プルキンエ細胞層には成ラットにみられたような陽性細胞は認められなかった。 胎生仔,新生仔ラットの脳において,胎生17日から日齢10日にかけてグルココルチコイドレセプター免疫反応陽性細胞,mRNA陽性細胞の密度が増加し,この時期の脳の発達とグルココルチコイドとの関連性が示唆された。
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