1997 Fiscal Year Annual Research Report
胎児大脳皮質神経細胞移動の分子機構に関する組織培養研究
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09770868
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Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
足立 晋介 京都府立医科大学, 医学部, 助手 (30285267)
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Keywords | 神経細胞移動 / エタノール / 組織培養 / オートラジオグラフィー |
Research Abstract |
(目的)大脳皮質神経細胞の移動障害の機序を究明する一方法として、エタノールによる細胞移動障害を組織培養系を用いて検討した。今年度はエタノール濃度と移動障害との関係を調べた。 (方法)ウィスター系母ラットより胎齢16日目の胎仔を取り出し、大脳皮質の小組織片を得て、3H-thymidineで標識した後、48時間培養を行った。培養後、組織を固定、パラフィン切片を作製し、これをオートラジオグラフィーに供した。培養液にエタノール1.0、3.0、6.0mg/mlを加えた群(EtOH1.0、EtOH3.0、EtOH6.0群,各n=8)と加えていない群(control群,n=8)とで細胞移動を比較した。移動の評価は大脳皮質を皮質原基層、中間層外方、中間層内方(さらに皮質側と脳室側に二分)、マトリックス細胞層にわけ、標識細胞の分布を調べることにより行った。 (結果)EtOH1.0群の標識細胞の分布は皮質原基層0.0±0.0%(mean±SD)、中間層外方2.1±1.5%、中間層内方皮質側13.1±8.6%、中間層内方脳室側35.1±8.2%、マトリックス細胞層49.7±6.3%であった。EtOH3.0群では、それぞれ0.0±0.0、0.5±1.5、3.0±3.4、33.3±11.2、63.2±12.8%、EtOH6.0群では、0.1±0.1、0.4±0.5、5.2±2.9、34.7±9.1、59.6±10.0%、control群では、0.1±0.2、2.0±0.6、19.5±6.2、33.0±14.1、45.5±12.8%であった。中間層外方、中間層内方皮質側、マトリックス細胞層においてcontrol群とEtOH3.0群、EtOH6.0群との間で統計学的有意差が認められた。control群とEtOH1.0群との間では有意差は認めなかった。また、中間層外方においてEtOH1.0群とEtOH6.0群との間で、中間層内方皮質側、マトリックス細胞層においてEtOH1.0群とEtOH3.0群、EtOH6.0群との間で統計学的有意差が認められた。 以上より、3.0mg/ml以上のエタノール添加は48時間の負荷で神経細胞移動に障害を及ぼす可能性が示唆された。
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Research Products
(1 results)