1997 Fiscal Year Annual Research Report
大腸癌の肝転移におけるTGF-β1の活性化機構および機能の解明
Project/Area Number |
09770898
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
奈良井 慎 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (30265839)
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Keywords | 大腸癌 / 肝転移 / TGF-β1 / fibronectin |
Research Abstract |
1.TGF-β1活性化因子の解明 ヒト肝細胞株tPH5CHとヒト大腸癌細胞株(高転移株・非転移株)とのco-cultureにおける培養上清中のTGF-β1(活性化型・潜在型)の定量をELISAで行った。高転移株HT-29のco-cultureでは培養2日目に活性化型TGF-β1濃度はtPH5CHとHT-29の各々の単独培養に比し有意に増加していた。しかし、活性化型TGF-β1と潜在化型TGF-β1の総量については有意差を認めなかった。また、培養4日目では活性化型および総量ともに、co-cultureと単独培養で有意差を認めなかった。この結果からPH5CHとHT-29のco-cultureにより、TGF-β1の活性化が促進されていると考えられた。一方、非転移株Colo205とtPH5CHとのco-cultureにおいて、TGF-β1の活性化は各々の単独培養との有意差を認めなかった。従って、大腸癌肝転移とTGF-β1の活性化に密接な関連性が示唆された。 2.TGF-β1のreceptorの解析 ヒト肝細胞株tPH5CHとヒト大腸癌細胞株HT-29とのco-cultureの系におけるTGF-β1のreceptor変化を、affinity assay,Westernblottingにて検討している。 3.TGF-β1の肝転移における作用の解明 in vitroにおいて肝線維芽細胞の培養液にヒトリコンビナントTGF-β1を添加すると、肝線維芽細胞のfibronectinの産生が増加した。したがって、fibronectinを介した転移形成にTGF-β1が関与していると考えられた。
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