1998 Fiscal Year Annual Research Report
大腸癌肝転移に対する新しい化学免疫療法の開発と応用
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09770900
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
石原 雅巳 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (80265826)
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Keywords | 大腸癌肝転移 / 化学免疫療法 |
Research Abstract |
(目的)切除不能な大腸癌肝転移に対し奏功率80%のMMC,5-FUおよびIL-2の3者併用療法の作用機序を実験的に検討し,さらに大腸癌株に対しMMCとIFN-Y併用による抗腫瘍効果を実験的に検討した.(方法)in vitroでは各種ヒト大腸癌株(WiDr,HT-29,Cl,Colo205)を対象とし,MMC,5-FU,IL-2,IFN-γ,TNF-αを用いMTT assay法により抗腫瘍効果を検討した.さらにHPLCによりMMCとIFN-γ併用によるMMCの癌細胞内濃度を検討した.また,51Cr遊離試験によってIL-2活性化リンパ球(LAK)と各種薬剤との併用効果を検討した.in vivoでは,ヒト癌-SCIDマウス系を用いMMCとIFN-γ併用療法を行い皮下移植腫瘍による腫瘍重量の評価と肝転移モデルにおける転移占拠率を検討した.(結果)in vitroでは,ヒト大腸癌株に対しLAKの上清を加えることでMMCの抗腫瘍性が増強された.そのLAK上清中にはIFN-γとTNF-αが高値を示していた.とくにIFN-γとMMCとの併用で濃度依存的な相乗効果が認められ,MMCの細胞内濃度の上昇が認められた.一方,5-FUで前処置した癌細胞は無処置群に比しLAKに対して2倍以上の高い感受性が示された.in vivo皮下移植腫瘍でもMMCとIFN-γの併用において相乗的な抗腫瘍効果を認め,さらに肝転移モデルにおいても相乗的な転移の抑制を認めた.(まとめ)本療法の作用機序は,LAKより放出されるIFN-YおよびTNF-αとMMCの相乗効果,5-FUによる癌細胞のLAK感受性の増強の2つが関与すると考えられた.さらに大腸癌の肝転移に対するIFN-γとMMC併用の抗腫瘍効果の相乗性が認められ,今後の臨床応用が期待された.
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