1997 Fiscal Year Annual Research Report
p53遺伝子、サイトカイン遺伝子を用いた電気穿孔法を応用した抗癌剤併用遺伝子治療
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09770929
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
松原 久裕 千葉大学, 医学部・附属病院, 助手 (20282486)
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Keywords | 遺伝子治療 / 電気穿孔法 / 食道癌 / 癌抑制遺伝子 / サイトカイン遺伝子 / 通電化学療法 |
Research Abstract |
これまでにヒト食道癌培養細胞(T.Tn)をヌードマウスの背部皮下に移植し、食道癌皮下腫瘍モデルを作製した。T.Tnは直接マウス皮下へ接種した場合は拒絶され腫瘍は形成されなかった。腫瘍細胞接種前日にヌードマウスのNK細胞の活性を抑えるためcyclophosphamideを腹腔内に投与した後、T.Tn5x10^6個の細胞を接種し皮下腫瘍を形成した。接種14日後、皮下腫瘍が直径約1cmに増殖した時点でbleomycineを腹腔内に投与した。これを2群に分け、一方の群に腹腔内投与30分後、エーテル麻酔下にin vivo電気穿孔器にて通電を行った。また、電気穿孔のみ施行した群、対照群の4群にてその後の腫瘍増殖を比較した。対照群、電気穿孔のみの群では増殖が抑制されず、bleomycineの腹腔内投与のみの群ではやや増殖抑制効果を認めたのに対し、bleomycine腹腔内投与後電気穿孔施行例では1回の施行で増殖は著明に抑制され、腫瘍が完全に退縮したマウスも認めた。また、プラチナ製剤のネダプラチンを同様にヌードマウス皮下腫瘍モデルで対照群、電気穿孔のみ、ネダプラチン腹腔内投与のみ、ネダプラチン腹腔内投与後電気穿孔施行群の4群で比較した。bleomycineと同様にネダプラチン腹腔内投与後電気穿孔施行群で著明な増殖抑制を認めた。現在、電気穿孔の有無によるネダプラチン腹腔内投与によるヌードマウス皮下腫瘍の腫瘍内濃度の差を測定する実験を行い、濃度の測定中である。また、p53,lL-2,GM-CSFcDNAをそれぞれ組み込んだベクターの作製に成功した。平成10年度では膵癌細胞での同様の抗癌剤電気穿孔実験、さらに作成したベクターのinvivo遺伝子導入実験および抗癌剤電気穿孔との併用効果について研究を進める予定である。
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