1997 Fiscal Year Annual Research Report
自律神経系を中心とした膵周囲の臨床解剖学的研究と膵管分枝による新しい膵区域の検討
Project/Area Number |
09770931
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
高橋 定雄 東京医科歯科大学, 医学部, 助手 (60291340)
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Keywords | 膵管配置 / 膵頭部 / 腹側膵切除 / 膵鉤部 / 膵鉤部切除 / 肉眼解剖 |
Research Abstract |
平成9年度は、腹側膵切除や膵鉤部切除などの膵管走行を考慮した膵頭部部分切除術の基礎となる膵頭部膵管の配置を中心に解剖学的に研究した。 研究は、実習用遺体25体を、膵管内に造影剤入シリコンを注入し軟X線装置を用いて膵管造影像を撮影後、実体顕微鏡下に膵管を剖出した。 我々は、この調査により膵鉤部に主膵管(Wirsung管)の近位部(主副膵管合流部よりもVater乳頭よりの主膵管)の枝以外に、時にの主膵管遠位部の枝やほぼ恒常的に副膵管(Santorin管)の枝が入り込んでいることを見い出し、報告した(15th Annual Scientific Session of the American Assosiation of Clinical Anatomist,1997;第50回消化器外科学会総会、1997;論文投稿中)。 この所見を基に、膵鉤部をドレナージする膵管を次の3型に分類した。 1型:副膵管と主膵管近位部に流入する。 2型:副膵管と主膵管遠位部に流入する。 3型:副膵管には流入せず、主膵管の近位部及び遠位部に流入する。 これらの分類は、膵頭部膵管の配置を反映している事がわかった。Vater乳頭と主副膵管合流部の距離を測定したところ2型が有意に1型や3型より短く、副乳頭と合流部の距離は3型が有意に短かった。すなわち、合流部がVater乳頭に近いときは、2型、副乳頭に近いときは、3型になり、いずれの乳頭からの遠位にあるときは、1型になるということが、示唆された。 また、全症例の軟X線膵管像と解剖所見との比較検討により、各型ごとにX線像では読影しきれない可能性のある膵管を明らかにし、臨床診断における基礎的なデータとして有用であると思われる。さらに、各型の膵管走行の特徴から、型別に膵頭部部分切除の可能性、難易度、注意すべき枝などについて考察した。これらは、第51回消化器外科学会総会(1998)にて発表した。
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