1998 Fiscal Year Annual Research Report
ラット移植肝への受容体介在法を用いた遺伝子導入に関する基礎的研究
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09770956
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
首村 智久 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (30276266)
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Keywords | 肝移植 / アデノウイルスベクター / IL-1Ra / 遺伝子導入 |
Research Abstract |
研究の背景・特徴: 炎症性サイトカインの一つであるlL-1は,ネットワークを介して白血球-内皮細胞相互作用を惹起し,虚血再潅流障害における中心的な役割を担っている. これまで我々は,IL-1の受容体拮抗物質であるIL-IRaの投与によって,肝虚血再潅流障害が抑制されることを報告してきた.このことより,肝へのIL-1助遺伝子導入と発現が可能であれば,肝移植においてprimary graft nonfunctioningの原因となる再潅流障害を効果的かつ選択的に抑制することができ,肝移植の遺伝子治療への臨床応用が期待できる. *研究方法: 1) Humam IL-IRa cDNA,Adex-IL-1Raの精製 2) 急性拒絶モデルにおけるIL-IRa遺伝子導入の効果判定 3) 肝再生に対するIL-1Ra遺伝子の導入の意義 *研究結果 ラット肝移植モデル(急性拒絶モデル)に対してアデノウイルスを用いてIL-1Ra遺伝子の導入を試みており,コントロール群に対して生存期間の延長が得られている.また,肝再生におけるIL-1(IL-1Ra)の作用を解明すべく,ラット70%肝切除モデルにIL-1Ra遺伝子導入を行い,残肝の再生(growth volume)を検討している.この研究は、(大量)肝切除後,生体反応としてIL-1がin duceされ,種々のサイトカインを活性化し,肝再生を促す方向へ働くという推測に基ずくものでる.IL-1Ra遺伝子導入により残肝のvolumeの増大が抑制されれば,肝再生におけるIL-1(IL-1Ra)の作用の解明の緒端となる. さらに,IL一IRaによる免疫寛容の獲得を検討するモデルとして,ラットにIL-IRa遺伝子導入を行った後,腹腔内にallo heart graftを異所性移植し(ACI-LEWIS拒絶モデル)グラフートの生着を観察する実験を併せて行っている.
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