1998 Fiscal Year Annual Research Report
胃癌腹膜播種モデルによる制癌剤亜選択的動脈内注入療法の有効性に対する基礎的研究
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09770964
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Research Institution | Jikei University School of Medicine |
Principal Investigator |
河野 修三 東京慈恵会医科大学, 医学部, 講師 (40234702)
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Keywords | 胃癌 / 制癌剤 / 動脈内注入療法 / ヌードラット |
Research Abstract |
目的:消化器癌の腹膜播種性病変に対する制癌剤亜選択的動脈内注入療法の有効性についての実験的検討. 方法:腹膜播種モデルとして,手術検体より採取した胃癌病巣を3mm立方大に細切してヌードラット(F344N Jcl-rnu/+)の腹膜下および胃壁内に移植した.移植後5日目に移植腫瘍径を計測し,組織学的に検討した.薬剤投与方法は,亜選択的動注群,全身投与群,腹腔内投与群,コントロール群で比較検討した.腹膜播種作成後5日目より,各群に各々CDDP:3.3mg/kg^<-1>,day1,3,5.Etoposide:3.3mg/kg^<-1>,day1,3.5を投与して,化学療法開始後7日目に移植癌組織を摘出した.移植腫瘍径を計測し、組織学的に評価した. 結果:腎癌手術検体10例(高分化型腺癌4例,中分化型腺癌3例,低分化型腺癌3例)より各々10検体ずつ(腹膜下5検体,胃壁内5検体)合計100検体を移植した.移植後5日目の移植腫瘍重量の平均は24.4mg(14.4-43.7mg)であった.組織学的には10例中1例のみにvaiableな癌細胞の増殖を認めたが,残り9例では腹膜下,胃壁内にはリンパ球浸潤と線維増殖を認め.vaiableな癌細胞は認めなかった.生着した検体では,腹膜下,胃壁内移植とも癌細胞を認め,すべての薬剤投与群で腫瘍径の減少を認めた.組織学的にもvaiableな癌細胞の減少と線維性変化が観察された.生着しなかった9検体では,すべての薬剤投与群でvaiableな癌細胞は認められずリンパ球浸潤の抑制がみられた. 結論:この実験系は安定した腹膜播種モデルとは評価されなかった.ヒト胃癌細胞の移植ではヌードラットの免疫が作用することが判明した.同様の実験系での化学療法の評価判定ではリンパ球浸潤および線維含量の程度を評価している可能性が高いとことが示唆された.
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