1997 Fiscal Year Annual Research Report
グルタミン酸虚血下分節注入モデルによるAMPA/Kainate受容体阻害薬の評価-対麻痺予防のための薬理学的脊髄保護液の開発-
Project/Area Number |
09771005
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
井上 仁人 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (60245503)
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Keywords | 脊髄虚血 / 対麻痺 / グルタミン酸 / NBOX / AMPA / Kainate受容体 |
Research Abstract |
【対象と方法】 New Zealand white rabbitを使用し、全身麻酔、開腹下に、腹部大動脈を腎動脈下とbifurcationの直上で遮断し,脊髄栄養血管が分岐する部分を文節化させた。大腿動脈から挿入したカテーテルをbifurcationより5mm中枢に固定し、文節化させた腹部大動脈を経由し脊髄へ溶液を注入した。A群(n=7)は,50mMのグルタミン酸溶液を2ml/minで5分間,遮断した分節に注入した。B群(n=7)は、生理的食塩水を同様に注入した。C群(n=6)はα-amino-3-hydroxy-5-methyl-isoazole-4-propionic acid/kinate受容体拮抗薬である2,3-dihydroxy-6-nitro-7-sulfamoyl-benzo(f)-quinoxaline(NBQX),4mg/kgを2分間分節注入した後、30mMのグルタミン酸溶液を2ml/minで4分間,遮断した分節に注入した。D群(n=6)は,NBQXの溶解液のみ2分間分節注入した後、C群と同様にグルタミン酸溶液を注入した。神経学的スコアーをTarlov scoreを用いて、実験後12、24および48時間の各時点において評価した。48時間後、脊髄を潅流固定し摘出した後、光学顕微鏡にて病理組織学的に検討した。 【結果】A群では、すべての時点において、7頭中5頭が対麻痺に、2頭が不全対麻痺になった。病理組織学的に、全例に著明な灰白質の壊死が認められた。B群では、すべての動物が完全に回復し、組織学的にも異常所見を認めなかった。C群では、D群より有意に良好な神経学的スコアーをしめした(p=0.0039)。C群では、前角に限局した軽度の変性のみであった。D群では、中等度の灰白質の変性と限局性の白質の変性が認められた。 【結論】外部からのグルタミン酸の投与は、短時間の虚血下において脊髄神経細胞を破壊しうる。この新しい実験モデルは、対麻痺の発生におけるグルタミン酸のneurotoxicityを検討する上で有用と思われる。
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Research Products
(1 results)