1997 Fiscal Year Annual Research Report
悪性グリオーマ細胞のアポトーシス誘発におけるカリウムチャネルの制御に関する研究
Project/Area Number |
09771037
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
川村 哲朗 金沢大学, 医学部, 助手 (60272960)
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Keywords | グリオーマ / カリウムチャネル / アポトーシス |
Research Abstract |
悪性グリオーマ細胞にはさまざまなタイプの膜電位依存性K^+チャネルが発現しているが、その電気生理学的性質および機能に明確な結論が得られていない。最近になり膜電位依存性K^+チャネルのアポトーシスへの関与が指摘されており、悪性グリオーマ細胞におけるK^+チャネルの解析は重要であると考えられる。そこでまずグリオーマの研究において広く用いられるラットグリオーマC6細胞に対して実験を行った。whole-cell recordingにおいて膜電位を-60mVに固定したC6細胞の外向き電流は-30mVで出現した。この電流は膜電位依存性であった。細胞外K^+濃度が変化した時の反転電位は正方向に移動し、K^+濃度が10倍に変化した際の反転電位の変化は約50mVであった。また、この外向き電流は4-aminopyridine(4-AP)によって抑制された。これらの結果はC6細胞における外向き電流は膜電位依存性K^+チャネルが担っていることを示唆する。single-channel recordingによると、このK^+チャネルの単一チャネルコンダクタンスは11pSであり、チャネルの開時間は脱分極刺激の増大により延長した。さらに4-APによりチャネルのコンダクタンスは変化せず、チャネルの開確率が低下することが判明した。以上の結果は,C6細胞に発現するK^+チャネルは国際分類上rKv2.1であることを強く示唆する。現在、ヒトグリオーマ細胞に発現するK^+チャネルの解析を行っている。今後、アポトーシスとこのK^+チャネルとの関係を追求する。
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