1997 Fiscal Year Annual Research Report
放射線抵抗性悪性脳腫瘍に対する定位放射線治療時の副作用軽減に関する基礎的研究
Project/Area Number |
09771046
|
Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
岩永 充人 長崎大学, 医学部, 助手 (90284695)
|
Keywords | glioblastoma / radiation / グルタチオン / γ-GCS / NF-κB / レドクス制禦 |
Research Abstract |
(方法及び結果) 対象;ヒト神経芽腫細胞株(NB9,IMR32)及びヒト悪性神経膠芽腫細胞株(T98G,A172)放射線照射による細胞障害の定量;MTTassayによる検討ではT98G,A172においてNB9,IMR32に比し顕著な放射線抵抗性を示した。T98G,A172両者間では有意にT98Gにおいて放射線抵抗性を示した。 放射線による抗酸化酵素の誘導とその定量;GSHの細胞内濃度は定常状態で放射線抵抗性と正比例し、T98GではNB9に比し実に14倍の濃度であった。照射により細胞内GSH濃度、GSH合成の律速酵素であるγ-GCSは上昇し、その上昇に要する線量はNB9では1Gyであるのに対しT98Gでは29Gy以上を要した。これにより細胞内GSHがγ-GCSのレドックス制御に関わっていることが示唆された。 γ-GCS遺伝子のプロモーター解析;EMSAにてγ-GCS heavy subnit上流に存在するNF-κBのDNA binding activityを検討した結果、T98Gにおいて20Gy以上の高線量域での上昇をみた。更に細胞内GSHを低下させる前処置にて1Gy程度の低線量にて上昇することを確認した。γ-GCS hevy sobunit上流のluciferase assayではNF-κB bunding siteのdeletion,mutationによりプロモーター活性は失われた。以上により放射線によるNF-κBを介したγ-GCS誘導、更にNF-κBのDNAbindingは細胞内GSHにより負の制御を受けていることが示唆された。 (まとめ) 悪性神経膠芽腫細胞株において、細胞内GSH(グルタチオン)濃度および照射後のγ-GCS(グルタチオン合成の律速酵素)の遺伝子誘導ならびに活性上昇を介したGSH合成増加が放射性抵抗性獲得において重要な働きを担っている事、更に細胞内GSHが放射線により誘導される転写因子NF-κBのレドックス制御に深く関わっていることを明らかにした。
|