1998 Fiscal Year Annual Research Report
神経移植のドナーとしての摘出神経組織の保存条件に関する研究
Project/Area Number |
09771063
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Research Institution | Jikei University School of Medicine |
Principal Investigator |
吉野 薫 東京慈恵会医科大学, 医学部・脳神経外科学, 助手 (60287307)
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Keywords | パーキンソン病 / 神経移植 / ドパミン産生ニューロン / 神経栄養因子 / TGF-β / 細胞保存 / ラット |
Research Abstract |
パーキンソン病の治療に神経細胞移植が有効であるという報告が現在まで数多くされており、臨床応用もおこなわれている。自家移植以外の場合、得られたドナー細胞を移送したり、ドナー細胞の感染の有無・主要組織適合抗原のタイプの検索などのため、移植までに細胞を一定の期間保存する必要がある。 一方、神経細胞の生存に関わる神経栄養因子も数多く報告されてきているが、これらが細胞を凍結保存する際にも有効に働くかは解明されていない。 今回、ドパミン産生ニューロンの生存を維持する効果を持つ神経栄養因子であるTransforming Growth Factor(TGF)-β2が細胞保存の際に有効であるかを調査する目的で本研究を計画した。 昨年度は個体差・手技などから生じる細胞分散処理後に得られるドパミン産生ニューロンの数のばらつきがどの程度存在するかを検討した。胎生14日のラットの中脳腹側組織を個々の細胞に分散させ,短期間の無血清培養をおこなった。次に、チロシンからドパミンが合成される過程で必須であるチロシン水酸化酵素に対する特異抗体により免疫染色をおこない,ドパミン産生ニューロンを選択的に染色した。そして生存細胞数およびチロシン水酸化酵素陽性細胞をそれぞれ計数し、生存細胞数に占めるドパミン産生ニューロンの割合を算出した.得られたドパミン産生ニューロンの割合は,個体差・手技などから生じるばらつきiま小さく比較的一定の害拾を示した。 今年度は昨年度の数値をコントロールとし、TGF-β2を細胞を凍結する前に添加した群としない群に分け、一定期間凍結保存した後、解凍・培養・免疫染色をおこない、ドパミン産生ニューロンの生存率を算出し、中脳ドパミン産生ニューロンに適する保存条件に関して検討をおこなった.ドパミン産生ニューロンはTGF-β2添加群の方が無添加群に比し高い生存率を示した.解凍後培養をおこなう際に細胞の洗浄が不十分であることにより凍結前に添加したTGF-β2が細胞内に残存し,そのために生存率が上昇した可能性を否定するため現在追加実験をおこなっているところである.
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