1998 Fiscal Year Annual Research Report
実験的外傷性脳挫傷時の活性酸素消去による二次性脳損傷抑制の研究
Project/Area Number |
09771068
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Research Institution | St. Marianna University School of Medicine |
Principal Investigator |
浅野 寛治 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 助手 (50288130)
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Keywords | 頭部外傷 / 実験的外傷性脳損傷 / nilric oxide / マイクロダメアリシス法 |
Research Abstract |
ウサギによる脳損傷モデルを用いて,脳温をモニタリングしながら,脳損傷後の脳組織内に発生するNOの変動をマイクロダイアリシス法により経時的に測定し,NOを介するグルタミン酸神経毒性の機序について検討した.不動化したウサギを固定し,脳表にステンレス製円柱を自由落下させ定量的脳損傷を作製した.脳損傷作製前より脳温モニターの電極を脳損傷部より5mm離れた部位に,マイクロダイアリシスプローブを脳損傷部直下に設置し,脳温とNOの最終産物であるNOx(NO_2^-+NO_3^-)を脳損傷作製後3時間まで測定した.結果は脳損傷前値と比較して,脳温は,105分から150分まで有意に上昇を示した.NOx値は,脳損傷後15分値から有意な増加(p<0.01)を認め,75分以降は漸減したが135分値まで有意に増加(p<0.05)を示した. 脳温は,主に局所熱産生・局所脳血流・潅流血液温度に起因するいわれているが,今回の研究では,常温の潅流液が脳温低下に傾けている事実や,局所脳損傷が存在することなど,純粋にどの因子に強く関与したとは判断できない.しかし,体温を維持していたこと,一般に脳損傷後は脳虚血が起こり脳温が低下することを考えると,脳温上昇は局所熱産生の増加が最も関与したと考えられた.外傷性脳損傷が発生すると,細胞膜の機能障害および構造的破壊により,細胞外でのグルタミン酸の増加が起こり神経細胞死に至る.この化学的反応に関与する物質にNOの存在がある.今回の研究で,NOは外傷性脳損傷製成後早期から発現・増加し,約2時間にわたり増加したままで持続することが判明した.過剰に産生されたNOは細胞膜やDNAを損傷し,ニューロン死を誘発し,脳損傷急性期の二次性脳損傷の増悪を招くものと思われる.
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