1998 Fiscal Year Annual Research Report
温熱によるアポトーシスの誘導に対する分子生物学的検討
Project/Area Number |
09771099
|
Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
米澤 正人 名古屋市立大学, 医学部, 助手 (00281262)
|
Keywords | アポトーシス / 温熱療法 / 悪性繊維性組織球腫 / MFH-2NR / Radio-Hyperthermo-Chemotherapy / シスプラチン / ピラルビシン / 放射線照射 |
Research Abstract |
我々は1992年より骨軟部腫瘍に対する術前治療として放射線照射と温熱療法と化学療法を同時に併用するRadio-Hyperthermo-Chemotherapy:RHCを行い、非常に良好な治療結果を得ているが、中でもとりわけ悪性線維性組織球腫(Malignant Fibrous Histiocytoma:MFH)における成績が良好なため、これについてretrospectiveに検証した。これまでにRHCが行われたMFH21例に対して、生存率、無病率、腫瘍壊死率を検討してみると、温熱治療が十分に施行できたものにおいては非常に満足すべき結果が得られているが、不十分なものではその結果は良好ではないことが判明した。そこで、MFHのモデルとしてラットのMFH細胞株:MFH2NRを用いて、それぞれの治療法単独での効果をinvitroで検証した。その結果、42℃、43℃での温熱処理によって時間依存性にアポトーシスが誘導されたが、シスプラチンおよびアドリアマイシンの誘導体であるピラルビシンをそれぞれ投与してもアポトーシスは誘導されず、かなり高濃度を投与した場合にのみネクローシスによる細胞死が引き起こされた。また、4Gyの放射線照射によっても細胞死は引き起こされなかった。ところが温熱処理と薬剤の併用、温熱処理と放射線の併用では温熱処理単独よりもアポトーシス誘導率は高く、さらにこれら3者を併用した場合にアポトーシス誘導効率は最も高くなることが判明した。臨床例に立ち戻って考えてみても、放射線照射と抗腫瘍剤投与は各症例においてほぼ均一な条件で行うことができるが、温熱治療は各症例によって条件が異なり十分な加温が得られないこともある。これらの実験および臨床の結果より、MFHにおいてはRHCの治療効果の鍵を握るのは温熱治療であり、放射線照射および化学療法はその効果を増強させる働きがあるものと推測され、今後これらの関係についてさらに詳細な検証がなされるべきであると思われた。
|
Research Products
(2 results)