1997 Fiscal Year Annual Research Report
骨肉腫細胞におけるビタミンD_3、K_2の分化誘導作用とP21
Project/Area Number |
09771126
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Research Institution | Kurume University |
Principal Investigator |
善明 美千久 久留米大学, 医学部, 助手 (10289465)
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Keywords | 骨肉腫 / ビタミンK / ビタミンD / 分化 / アポトーシス / p21 |
Research Abstract |
細胞毒性の弱いサイトカイン、ビタミン、ホルモンや低濃度の抗癌剤などによるcancer differentiation therapyでは諸種癌細胞がin vitroおよびin vivoにおいて分化し、成熟して増殖性や造腫瘍性の喪失がもたらされる。またこれらの分化した癌細胞の多くはアポトーシスを誘発して死滅するとされている。いまや分化誘導剤は従来の細胞毒性抗癌剤とは本質的に異なる癌細胞に対する分化誘導の機構によって制癌効果を発揮することが明らかとなっている。 p21はp53遺伝子の下流に位置し、p53遺伝子依存性にG1 cyclin-dependent kinase作用を抑制することで細胞の増殖抑制をもたらすとされている。しかしながら、最近の論文では多くの分化誘導剤がp53とは無関係にp21を発現する結果、分化が起こりうると報告している。これらの論文ではこれらの薬剤が特定のDNA elementに結合し、転写開始をmodulateすることでp21の発現を誘導するとしている。p53 negativeのMG63骨肉腫細胞を用いた今回の研究ではp21をコードする遺伝子がビタミンDとKの標的遺伝子であることが判明し、ビタミンDとKによってもたらされたp21の転写活性がMG63細胞の分化と相関していた。このp21は長期培養を続けていくと発現低下、やがて消失がみられ、それに伴いMG63骨肉腫細胞のアポトーシスが誘導された。アデノウイルスによるp21の過剰発現をおこなったとところ同様にMG63骨肉腫細胞の分化、さらに長期培養ではp21の消失がみられ、アポトーシスももたらされた。これらからビタミンDとKによって引き起こされる骨肉腫細胞の分化はp53に依存しないp21によるもので、p21の発現消失がアポトーシスと関係があるものと考えられた。
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