1997 Fiscal Year Annual Research Report
変形性膝関節症に対する高位脛骨骨切り術が関節液中マーカーに及ぼす影響の研究
Project/Area Number |
09771127
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Research Institution | Fukuoka University |
Principal Investigator |
石西 貴 福岡大学, 医学部, 助手 (20289523)
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Keywords | 膝関節 / 高位脛骨骨切り術 / 関節液 / 関節マーカー |
Research Abstract |
【目的】変形性膝関節症(以下、OA)に対して外来加療時の定期的な関節内注入療法により症状緩和を認める場合と高位脛骨骨切り術(以下、HTO)などの手術療法が必要となる場合がある。HTOの臨床効果は力学的機序が主体とされているが、生化学的な影響については不明な点が多い。近年、関節液検査によるOA病態の客観的評価が注目されているが、HTOの関節マーカーに及ぼす影響を検討した。 【対象と方法】関節水腫を有するOAに対しHTOを施行した15膝の術前の関節液を採取、関節マーカーを測定した(HTO群)。測定項目として、(1)コンドロイチン硫酸異性体(CS-6S、CS-4S)、(2)ヒアルロン酸(HA)、(3)コンドロカルシン(PColl-II-C)の濃度を定量した。HTO施行後4週以上の水腫の継続を15膝中6膝に認め、その関節液を毎週採取して関節マーカーの経時的変化を測定した。 外来の関節内注入療法により結果として症状緩和を認めた5膝では、予め凍結保存していた治療前の関接液の関節マーカーを測定した(コントロール群)。 【結果】HTO群6膝の術前の性差、年齢、X-p評価、貯留関接液量はコントロール群と近似していたが、関節液中のCS-6S、CS-4S、PColl-II-CがHTO群では有意に高値を示していた。HTO術前と術後4週の関節マーカーの比較では、CS-6Sが有意に増加、HA濃度は有意に低下した。術後4週以降の経時的変化を比較すると、CS-6Sは低下する傾向、HA濃度は増加する傾向を認め、CS-6S/HA比は有意な低下を示した。 【考察】関節マーカーは軟骨基質であるプロテオグリカンやII型コラーゲンの分解産物であるため、HTOが必要となる水腫例では関節液中のPColl-II-CやCS-6Sの濃度が高値を示した。HTO術後早期には関節マーカーが一時的に増加するが、その後に反応性水腫の軽減とともにHAやCS-6S濃度比の異常は経時的に改善していく傾向を示した。
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