1997 Fiscal Year Annual Research Report
血管内皮細胞の接着分子(E-セレクチン)発現に対する全身酔薬の影響
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09771141
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Research Institution | Toyama Medical and Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
釈永 清志 富山医科薬科大学, 医学部, 助手 (40187498)
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Keywords | 培養血管内皮細胞 / 接着分子 / E-セレクチン / 静脈麻酔薬 / IL-1 |
Research Abstract |
1.研究目的 本研究は、TNFもしくはIL-1刺激したヒト培養血管内皮細胞を用い、これに種々の静脈麻酔薬および吸入麻酔薬を負荷することにより、接着分子(E-セレクチン)発現に対する影響を機能的レベル、蛋白レベル及びmRNAレベルで明らかにすることを目的とする。 2.研究方法・研究成果 本年度は白血球の血管内皮への接着に対する麻酔薬の影響について、まず機能的側面から解析した。ヒト臍帯静脈内皮細胞を96穴プレートに5%CO_2,95%CO_2,air,37℃で培養し、コンフレエントとなったものを用いた。静脈麻酔薬を含む培地で1時間pre-incubation後、更にIL-1(10U/ml)にて4時間刺激し、蛍光標識された白血球によるadhesion asasayに適用した。多核白血球の血管内皮への接着は、IL-1により著明に増加した。また、この接着は抗E-セレクチン抗体よりも抗CD18抗体でよく阻害されたことから、この実験系ではIL-1刺激により接着因子としてセレクチンよりもICAM-1が多く関与していると推察された。また臨床使用濃度の各種静脈麻酔薬(チオペンタール、ケタミン、プロポフォール、ミダゾラム)のpre-incubationではコントロールに対して有意な変化はなかった。少なくても静置条件下でのIL-1刺激による多核白血球の接着に対して静脈麻酔薬は機能的には影響がないこと示唆された。 3.今後の展開 IL-1もしくはTNF刺激と麻酔薬の負荷によるE-セレクチン発現の解析について、蛋白レベル及びmRNAレベルで解析する。蛋白レベルでは抗体を用いたcell-ELISA法により、mRNAレベルについてはノーザンブロッティングにより解析する。また、血管内皮と白血球の細胞接着については流れのある条件下でも機能的解析をすすめる。
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Research Products
(1 results)