1998 Fiscal Year Annual Research Report
血管内皮細胞の接着分子(E-セレクチン)発現に対する全身麻酔薬の影響
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09771141
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Research Institution | Toyama Medical and Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
釈永 清志 富山医科薬科大学, 医学部, 助手 (40187498)
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Keywords | 培養血管内皮細胞 / 接着分子 / E-セレクチン / 静脈麻酔薬 / IL-1 / IL-6 / ICAM-1 / MIDCAB |
Research Abstract |
1. 研究目的 血管内皮上の接着分子(E-セレクチン)は好中球・単球との接着の第一段階であるローリングに関与するとされる。本研究の目的は、E-セレクチン発現に対する麻酔薬の影響を明らかにすることである。 2. 研究方法・研究成果 (1)培養ヒト臍帯静脈血管内皮細胞を用い、蛍光標識された白血球によるadhesion asasayに適用した。多核白血球の血管内皮への接着は、IL-1により著明に増加した。また、この接着は抗E-セレクチン抗体よりも抗CD18抗体でよく阻害されたことから、この実験系ではIL-1刺激により接着因子としてセレクチンよりもICAM-1が多く関与していた。また臨床使用濃度の各種静脈麻酔薬(チオペンタール、ケタミン、プロポフォール、ミダゾラム)のpre-incubationではコントロールに対して有意な変化はなかった。少なくても静置条件下でのIL-1刺激による多核白血球の接着に対して静脈麻酔薬は機能的には影響がない。しかし、フローのある(ずり応力がかかる)状況での検討が更に必要である。 (2)実際の臨床での影響を調べるため、低侵襲冠動脈バイパス手術(MIDCAB)に着目した。血漿E-セレクチン濃度の周術期の経時的変化について、撓骨動脈より採血し、ELISA法により測定し検討した。また、他の炎症性サイトカインマーカーとの関係をみる目的で、血漿IL-6濃度についても同様に測定した。血漿E-セレクチン濃度は、全症例の採血ポイントで測定可能であり、最大値は術後第1病日であった。しかし、その経時的な変化については有意差を認めなかった。一方血漿IL-6濃度は手術終了時、術後第1病日に有意に上昇した。血漿IL-6濃度の有意な上昇にかかわらず、E-セレクチン濃度は有意な上昇はなく、低侵襲性が維持されていた。その機序については麻酔薬の果たす役割を含め更に検討が必要である。
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Research Products
(1 results)